『Barbie』(アメリカ、2023年)
を観た。
女性たちが要職につき、日々ガールズナイトで楽しく暮らすバービーランド。
ピンクに包まれた可愛い世界。
楽しいことだけで構成されているバービーランドで、
「ティピカル・バービー」は死を想像することで偏平足になり、太ももにはセルライトが出現。
醜い姿を治すため、ティピカル・バービーは人間世界に赴くのだが・・・。
2023年の大ヒット映画。
公開当時は大きな話題になったし、グレタ・ガーウィグ監督作品ということで注目していたけど、
フェミニズム映画だとかバーベンハイマーだとか、
腰が重くなるような話題に包まれていたので劇場公開時の鑑賞は見送り、Netflixにて鑑賞。
女性たちの楽園・バービーランドでの物語を楽しくポップに描くというよりも、
現実も交えて、男女の社会的役割が反転したふたつの世界から、
バービーとケンを通して、ジェンダーの不均衡と男女の対称性と非対称性を描いているね。
女性に勇気と夢を与えていた
何でもできる美女・バービーという女性の理想像が
ルッキズム批判の現代に合わない現実に傷つくバービー。
標準型であり典型的なバービーは、他のバービーと比較して金髪のスタイル抜群な美女。
それだけでパワフルな存在で憧れだった時代は変わって、今では性的で下品だと子どもに軽視される。
美しいことそれ自体だけで憧れになる時代は終わった。
人間としての奥行を、ティピカル・バービーは楽しむことを選ぶ。
なんでライアン・コズリング演じるケンまで人間世界にやってくるのだろう・・と思ったけど、
それはケンを目覚めさせるためだったんだね。
フェミニズム映画でもあり、反転した世界での男性の苦しみも描いている。
バービーの添え物としてのケン。
バービーランドの主役になれないケン。
このエンタメ作品をここまでwokeな作品にした振り切りはすごい。
woke映画としての側面を抜きにすると・・・
▼ 劇中歌を歌うデュア・リパが人魚のバービーとして出演していたのが最高。
▼ ライアン・ゴズリングは2023年には42歳だし、マーゴット・ロビーも30代。
バービーは10代のはずだからキャストは20歳前半くらいが良かったのでは・・と思うな・・・。
▼ とかく長尺になりがちな最近の映画作品において、要素は多いのにスピード感と構成が抜群で観やすい。
子ども向け人形の映画だけど、完全に大人向け。
まごうことなき、アメリカのハリウッド映画だなぁ。
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