『グエムル 漢江の怪物』(韓国、2006年)

 

を観た。

漢江の河原でくつろぐ人々のもとに、突如として怪物(グエムル)が出現する。

河原に店をかまえる露天商のカンドゥ。

一緒に逃げていたはずの娘ヒョンソがグエムルに捕らわれ、漢江の中に消えてしまうのだが・・。

 

ポン・ジュノ監督は好きだけど、

モンスターパニック映画が苦手で初鑑賞。

 

文句なしに面白い。

 

そして、公開当時ではなくコロナ禍を体験した2023年に鑑賞すると、

さらに味わい深く感じる。

 

グエムルが出現し、ヒョンソがさらわれてしまい絶望する最中、

獣害による合同葬儀の場で、バラバラになっていた家族が集い、泣き崩れるダイナミックさは滑稽な笑いを誘うし、

ウイルスの蔓延で現場への立ち入りが規制される中で、

指名手配されることは分かっているのに、一縷の望みをかけて皆でヒョンソを助けに行こうとする

家族愛にはリスペクトを感じるし、観ていて気持ちが良い。

 

凶暴で多くの人を犠牲者にした怪物相手に、

ただの一般人の家族がヒョンソを助けに行く・・・という決断を

あの4人が意思を同じくしているというのが最高。

 

しかも、グエムルによってきょうだい達の父がやられてしまってカンドゥも逮捕され、

諦めるかと思いきや、ヒョンソ救出の想いはきょうだいそれぞれが持ち続けているのも良すぎる。

 

ウイルスの脅威でパニックになった群衆、マスク標準装備の人々・・・というのは

まさにコロナ初期を特に思い出すな。

 

百舌鳥のような習慣があるのか、

今は食べない獲物を特定の場所にしまっておくグエムル。

 

たまたま生きていたヒョンソがその場所で奮闘するシーンは緊迫感抜群だし、

最後の望みで上部へとかけあがろうとし、あわやでああなってしまうシーンの吸引力は半端じゃない。

 

そして、アーチェリーのメダリストというカンドゥの妹がようやっと弓を射るのを

ラストまでおあずけにしておくのも焦らされるけど良い。

 

それでラストよ。

結局どうなったのかは台詞では表さない。

でも、序盤でヒョンソではない子を助けたこと、兄のほかは身寄りのない少年は売店に住みたがっていたこと、

すべて物語が回収された苦しいラスト。

この見せ方も脱帽。

すごい・・・。完璧な映画。

 

映像も音楽も、ストーリーの構成も何もかもがエンタメとして最高。

 

 

 

あと、今回舞台となる漢江(ハン・ガン)って韓国の人気作家ハン・ガンと同名だよなって思ってしまった。

 

 

 

 

もちろん偶然だし、時代は全然違うけど。

 

コロナ禍もそうだし、意外なところで現実と結びついているのが妙。