二篇に分けた後半は、『ブルーピリオド』について。
5月はまだ3巻まで。
ずっと読みたかった作品を、6月もちびちび読んでいこう。
 
 
 
器用で要領の良い高校生・八虎が
ひょんなことから美術にハマり東京藝術大学の合格を目指す物語だけど、
八虎のキャラクターがめちゃくちゃ良い。
男子高校生が抱える自意識過剰みたいなものはまるでなくて、
人心掌握みたいなことが嫌味なくできるし、処世術にも秀でている。
不良とつるみながらも勉学にもしっかり励むような正当な努力もできる。
それでいて、「勝ち組負け組」みたいな価値観で他人を見下してもいない、善人。
妙な虚無感を抱えて病むほどには情緒不安定でもなく、
でもどこか物足りないとは感じているクールさは、他の漫画ではあまりお見かけしない絶妙なバランス感。
ちゃんと努力できる素直な性格の持ち主だから、
メキメキと上達していく姿もすんなり納得するし、応援したくなる主人公だなぁ。
 
『ブルーピリオド』2巻
 

ユカちゃんはトランスジェンダーではなく、

トランスヴェスタイトでゲイなんだね。

クィアな人物が「アフタヌーン」という青年誌で当たり前に登場するの、いいな。

巻末にあるおまけ漫画のエピソードで、

「空気を読め」と発言した八虎に対してユカちゃんが放った

「それで何も発言しないなら、君は空気そのものだね」って台詞は、痺れる。

かっこいいなぁ。

ユカちゃんとの距離感からして、八虎とは近所の幼馴染かと思いきや、高校で出会ってるのか!?

八虎は苦手意識があるみたいだけど、不思議と心理的な距離が近い二人なんだよなぁ。

ユカちゃんの話ばっかしたけど、ヨタスケくんも辛いよなぁ。

 

 

 

『ブルーピリオド』3巻

 

八虎は描くことは好きだけど、

観ることにはそこまで興味がない、

というのは鑑賞好きの自分にとっては、驚きの感覚だなぁ。

わたしは美術鑑賞も(コピーだけど)美術収集も好きだけど、絵を描くことには関心があまりない。

絵を描くのが好きな人と、観ることが好きな人の間には、大きな隔たりがあるな・・・と

ストーリーとは関係のないところで思ったりもした。

この物語は高校生たちのスポ根的な人間ドラマを味わえると同時に、

美術大学受験の常識・メソッドという、自分には馴染みの薄い専門的な情報にも触れることができるのがいいなぁ。