『シングルマン』(アメリカ、2009年)
を観た。
1960年代のロサンゼルス。
長年の恋人・ジムを事故で失った大学教授のジョージは自殺を企てるのだが・・・。
ファッションデザイナーのトム・フォードの監督第一作目。
さすがのトム・フォードで、清潔に整えられているシャープな映像の質感と
人物のパーツを印象的に切り取ったカットが洒落ている。
愛する人の最期の姿にパートナーが口づけするシーンで、
始まりと終わりが構成されていて、最期の時にお互いが迎えにくるかけがえのない存在なんだよね。
わだかまりの残るラストで、現実の不条理さを感じる。
ナンパした魅力的な男性に
「恋愛はバスのようなもの、過ぎても待っていれば別のバスがやってくる」
と口説かれながらも次のバスに乗ろうとしない。
学生のケリーもおそらくゲイで、危なっかしいと近寄ってくれているのに、
緊張感のある距離を保ったまま。
生きる意味さえ喪失してしまうような大きな穴は、他の誰かに埋められるようなものじゃない。
LGBTQやマイノリティを扱う映画の常連女優ジュリアン・ムーアがご出演で、
この作品でも少しお騒がせな女性を演じている。アップのヘアスタイルが綺麗。
ストーリーよりも映像を愉しむ作品。