小島慶子『コスプレ上手は、仕事上手!』

を読んだ。
TBSで局アナを15年勤めたのちにタレントとして活躍する著者のコミュニケーション術が綴られている。

表紙の清々しいまでの誇らしげな顔!
これは、買うのをためらう!!!

「コスプレ」という独特の表現であらわされているのは、
場面や状況や相手に応じて、求められている自分として振る舞うこと。
周りや相手と信頼関係を築くことが何よりも大事だという訓戒が、著者の失敗談や成功談を交えて具体的に語られている。

処世術や調整法を身につけたところで、
自分自身がすげかわるわけでもない。

容易に切り替えができるという意味でのコスプレ。

自分らしさへの固執や、感情から離れて、
仕事の成果を第一に考える割り切りこそが大事みたい。

テレビ業界は特に、
テレビに出る人と出ない人が明確に区別されていて、テレビに出る人は裏方さんの努力や熱意を背負ってるんでしょう。
その分、自分の感情にこだわりすぎて、誰かの努力を踏みにじることになるという失敗も、失敗としてはっきり感じやすい業界のような気がする。

この本では、
就活の面接官としての視点や、新人の極意も描かれていて、
大学生〜20代半ばくらいまでをターゲットにした内容になっている。
大人としてのアドバイス!が強すぎて、辛辣に感じる部分もたくさんある。

日経ウーマンの連載は、読者層を意識して20代後半〜40代前半くらいまでを想定したコメントになっていて、相手も比較的大人だという前提の語り口で、この本とはまるで違う。

学生時代の色々はあったとしても、
小島さんは
根本的には自分に自信があるタイプだと思う。
揺るぎない自信…とまではいかなくても、
何か悪口や非難をされたときに「やはりそうなんだ!自分はダメなんだ!とうとう見抜かれてしまった!」とオロオロしたりはしない。
精神的なタフさがあって、精神的に元気がないタイプとは本質的に異なる。

サブカルやオタク趣味を拠り所にせずとも、
メインストリームの世界で十分にやっていけただけの自信やタフさがある。


現実を生き抜こう。
生き抜くための本。
かつてのわたしなら、絶対に手に取らなかった類の本だ。