『フィリップ、きみを愛してる!』(アメリカ、2009年) I Love You Phillip Morris

 

を観た。

 

天才詐欺師 スティーブン・ラッセルの実話を基にしたストーリー。

こまごまとした詐欺で刑務所に収監されたスティーブンは、このうえなく優しくてお人よしのフィリップ・モリスと恋に落ちるのだが・・・。

 

 

怒涛の展開でテンポが良い!

 

詐欺の手口も脱獄の手口も、大胆かつ鮮やかで、見応えがあるね。

なんでもスティーブンの手の内で転がせるかのような展開には、ちょっとしたカタルシスさえ感じる。

しかも実話ベースだというから驚き!

 

スティーブンの善悪の頓着のなさというか、

純然たる嘘つき体質も憎めない。

 

成功するかヒヤヒヤして緊張感を持つ間もなく、なんでも上手くいってしまうから

観ていてフラストレーションが溜まらない。

ジム・キャリーの軽妙かつコミカルな演技も魅力的でいい。

 

ラストに、ちょっとしたどんでん返しというかお涙頂戴の仕掛けがあるんだけれど、

あのまま終わってしまわないのがこの作品のすごいところ。

大胆不敵とはまさにこのこと。

だまされた!

 

それでも、人を傷つけようという悪意なんてサラサラないから、応援できるのかも。

スティーブンの好きな人を喜ばせたいという真っ直ぐな気持ちと、倫理や法に反した言動のチグハグが面白い。

とにかく知能犯で、思いついてしまうから悪いのかも。

普通なら、思いついたところで立ち回れないから嘘がばれるけれど、立ち回れるとこんな風になるみたい。

 

LGBTQを扱った作品は、悲壮感漂う作品が多いけれど、

この作品はまったくそういう後味の悪さがない。

潔いコメディの質感と少しの哀愁が良い具合にブレンドされているので、気負わず観られる。

 

 

 

 

 

 

苦しくない世界で、愛を獲得していきたい。