(018)森 (百年文庫)/モンゴメリー

ポプラ社から出ている百年文庫に、手を出してみたのよ。

百年文庫は、世界の文学者の短編が、3編ずつ収録されているのよねえ。


頁を開いてみてびっくりしたのだけれど、文字が大きい!

さすが児童文学に強いポプラ社というべきか。

本の装丁もシンプルで御洒落感あるのだけれど、量的には薄いのよねえ。


今回は、シリーズ18巻の、「森」というテーマを選んだのよ。

本の三分の一ほどが、モンゴメリーの「ロイド老嬢」でメインに据えられているわ。




モンゴメリー、掛川恭子訳 「ロイド老嬢」


を読んだ。


プライドが高く、心を閉ざしたロイド老嬢。

今は亡き恋人の孫娘シルビア・グレーが村にやってきたことをきっかけに、彼女の心がほぐれていく。


これが短編なのだけれど、素晴らしい!


ロイド老嬢は本当は優しくて繊細な女性なのだけれど、周りに誤解されて生活しているのよねえ。

それが、シルビアに亡き恋人を重ねて、深い愛によって頑なな心が溶かされていくのよ。


ロイド老嬢は、シルビアのために、影ながらプレゼントをしたり、彼女を支えるのよねえ。

シルビアのことを四六時中考えていて、見返りなんて求めない、純粋な愛なのよ。


ロイド老嬢がいかに繊細で、シルビアを愛しているかが分かる描写で、


「シルビアとは実際に話をしているとき以上に、家に帰ってからもう一度思いかえしてみるほうが、もっと楽しかった。」(p.77)

という文章があるのだけれど、

こういう風に簡潔で、慎ましくも、激しい情熱を感じさせる表現があるのよねえ。


シルビアのほうも、容姿が美しいだけでなく、上品で、洗練された魂の持主なのよ。

自分に贈り物をくれる相手がロイド老嬢だと感づいていながら、ロイド老嬢がばれたくないと思っていることを知っていて、「妖精の代母」さんに感謝している、と伝えるのよ。


ロイド老嬢とシルビアが触れあっていって、とうとうすべてがわかったときに、深い慈しみと愛で満たされる。


愛の力って、すばらしいの。




ジョルジュ・サンド、小椋順子訳 「花のささやき」


を読んだ。


男装の麗人ジョルジュ・サンド。


ささやきというより、おしゃべりね。しゃべりすぎるのって、下品だわ。



タゴール、野間宏訳 「カブリワラ」


を読んだ。


不思議な、友達。もの哀しい。











思い出す。その能力が、わたしに在って良かった。これからは、甘い記憶を、何度も噛んで愉しむのよ。