ポプラ社から出ている百年文庫に、手を出してみたのよ。
百年文庫は、世界の文学者の短編が、3編ずつ収録されているのよねえ。
頁を開いてみてびっくりしたのだけれど、文字が大きい!
さすが児童文学に強いポプラ社というべきか。
本の装丁もシンプルで御洒落感あるのだけれど、量的には薄いのよねえ。
今回は、シリーズ18巻の、「森」というテーマを選んだのよ。
本の三分の一ほどが、モンゴメリーの「ロイド老嬢」でメインに据えられているわ。
モンゴメリー、掛川恭子訳 「ロイド老嬢」
を読んだ。
プライドが高く、心を閉ざしたロイド老嬢。
今は亡き恋人の孫娘シルビア・グレーが村にやってきたことをきっかけに、彼女の心がほぐれていく。
これが短編なのだけれど、素晴らしい!
ロイド老嬢は本当は優しくて繊細な女性なのだけれど、周りに誤解されて生活しているのよねえ。
それが、シルビアに亡き恋人を重ねて、深い愛によって頑なな心が溶かされていくのよ。
ロイド老嬢は、シルビアのために、影ながらプレゼントをしたり、彼女を支えるのよねえ。
シルビアのことを四六時中考えていて、見返りなんて求めない、純粋な愛なのよ。
ロイド老嬢がいかに繊細で、シルビアを愛しているかが分かる描写で、
「シルビアとは実際に話をしているとき以上に、家に帰ってからもう一度思いかえしてみるほうが、もっと楽しかった。」(p.77)
という文章があるのだけれど、
こういう風に簡潔で、慎ましくも、激しい情熱を感じさせる表現があるのよねえ。
シルビアのほうも、容姿が美しいだけでなく、上品で、洗練された魂の持主なのよ。
自分に贈り物をくれる相手がロイド老嬢だと感づいていながら、ロイド老嬢がばれたくないと思っていることを知っていて、「妖精の代母」さんに感謝している、と伝えるのよ。
ロイド老嬢とシルビアが触れあっていって、とうとうすべてがわかったときに、深い慈しみと愛で満たされる。
愛の力って、すばらしいの。
ジョルジュ・サンド、小椋順子訳 「花のささやき」
を読んだ。
男装の麗人ジョルジュ・サンド。
ささやきというより、おしゃべりね。しゃべりすぎるのって、下品だわ。
タゴール、野間宏訳 「カブリワラ」
を読んだ。
不思議な、友達。もの哀しい。
思い出す。その能力が、わたしに在って良かった。これからは、甘い記憶を、何度も噛んで愉しむのよ。