死者のあやまち (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー
アガサ・クリスティー、田村隆一訳 『死者のあやまち』 Dead Man's Folly

を読んだ。

友人の推理小説家オリヴァ夫人に呼びつけられたポアロ。

ポアロは、田舎屋敷で催し物として犯人探しゲームの筋書きを考えたオリヴァ夫人に、催し物のゲストとして招かれたのだった。

まもなくゲームの死体役の女の子が本当に殺害されてしまう・・・というお話。


『ひらいたトランプ』で登場したオリヴァ夫人といつの間に友人に!?という驚きもあるけれど、

オリヴァ夫人はクリスティ自身の反映だからねえ。気に入りのキャラクターでしょうよ。


この作品でも、オリヴァ夫人のとりとめのない想像力はご健在。

口頭では何を喋ってるか分からないほど、あっちこっち論理が飛躍して訳がわからないのに、

論理的で緻密な文章を書けるのね。


この話で鍵になるのは、ハティ・スタッブス夫人の知能や性格よね。

人によって、まるっきりの低能だと見做されたり、うつけを演じている抜け目のない人物と見做されるのよねえ。


ポアロは、最後のほうでやっと真相に辿りつくのだけれど、まあ、思いもよらない展開かもね。

フォリアット夫人の陳述に注目すれば、ある一つの矛盾点に気付くのよねえ。
それが真実。

タイトルのFollyには、二つの意味があるのよね。

ひとつは単純に、「あやまち」という意味。もう一つの意味は、「阿房宮」。

死者の阿房宮。


それが、探しても見つからない、スタッブス夫人が隠されているところ。


この作品でも、悩み多き人々と、ポアロは向き合うのよねえ。




























他の誰かじゃなくて、あなたがいいの。厭だわ。そんなの、分かっているんでしょう。