飯事-201202171254000.jpg


デイヴィット・ヘンリー・ウォン、吉田美枝訳 『M・バタフライ』 M.Butterfly


を読んだ。


プッチーニの『蝶々夫人』を印象的に用いた戯曲。


内容は『蝶々夫人』の流れにそったものではなくって、逆にそれを逆手に取ったお話になっているよねえ。


冴えない外交官ガリマールが、

中国の京劇役者ソンを「わたしのバタフライ」にしてしまうのよ。


いじらしく振る舞うソンは勿論スパイなのだけれど、一番の秘密は男性だってことなのよね。

それも、15年も一緒に暮らしても、ガリマールはソンを女性だと思い込んだのね。

びっくりするような話だけれど、これは実話にインスピレーションを受けた話なのよ。


種明かしをしちゃえば、

ソンの演技が上手かった、ってこと以上に、

ガリマールの、理想の女性像への思い入れで、わたしのバタフライを見ようとしていたのよ。


自分の中にあるマダム・バタフライを上手く演じてくれる役者がいるもんだから、

強烈な思い入れでもって、自分の憬れを護ろうとしたのよね。


ふふふ。欺瞞だらけね。


京劇ってそもそも男性が女性の役をするんではなくって?

伝統演劇は、だいたい老若男女の振る舞いが様式化されているから、

女役は、よっぽどよっぽど女らしく映るはずよねえ。


ちゃあんと冷静に考えればわかるはずよ。でもね、見たい世界だけ、見ていたのよね。









『のんちゃんのり弁』 (日本、2009年)


を観た。


だめ男の夫と別れようと、子連れで出戻って、お弁当屋さんを開くために奮闘するお話。

あと、ちょっぴりロマンス。


夫がすごい甲斐性がないだめ男なのね。

べたべたまとわり付いてくる感じなの。ついつい甘やかしたくなっちゃう。


お弁当とか、作品に出てくるご飯、

ぜんぜん豪華で特別なものじゃなくって、家庭的で素朴で、だから浸み入る感じなのね。

何層にも重なったのり弁。ごくり。さばの味噌煮。ごくり。


小さい子どもがご飯食べてる姿、って、べらぼうかわいいわ。


この作品に出てくる村上淳はあまり格好良くないわ。むむ。

















全部あげるって云ったら、受け取ってくれる、はずよね。きっと、ほとんど、持てないんだわ。