TOPLESS [DVD]/清水美那,奥田恵梨華,大政絢
¥3,990
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『TOPLESS』 (日本、2008年)


を観た。


大の女好きを公言する大学生の夏子は、10年来の仲の恋人・朋美にふられてしまう。

手当たり次第に遊ぼうとする夏子。 保守的に、傷つかずに生きていくために男性の恋人を作る朋美。

その夏子の前に現れる、女子高生カナ。カナは、レズビアンの恋人と駆け落ちした母親を探すために上京してきたのだった。

それぞれの未来に向かって、彼女たちは、生きる。



良い映画だね!好評価だわ!


最近の日本映画で、レズビアンたちを扱った映画といえば、『LOVE MY LIFE』が有名だよね。

『LOVE MY LIFE』は、キャストも豪華で、ヌードシーンもあったから、特に話題になったよねえ。

それだけじゃなくて、演出が、明るくてポップで、見やすかった。

あと、いちことエリーっていう、上手くいっているカップルを軸にしていたから、悲壮感はなかったよねえ。


それに対して、『TOPLESS』はもっとシビアで、現実に則した描写がある。

主人公たちの年齢は、20代前半で、『LOVE MY LIFE』とは共通しているんだけれど、

『LOVE MY LIFE』が砂糖菓子みたいな甘さがあるのに対して、『TOPLESS』はもっと冷ややかなんだよねえ。


たとえば、主人公の夏子は、自由奔放な性格で、いろんな女の子と寝てると思われる表現があるよね。

冒頭部分でもわかるようにね。

なぜかっていうと、恋人の朋美と別れたからなんだよね。

そういう喪失経験から、物語は始まる。


べっつに男性なんか好きでもないのに、保守的な選択として「結婚」を選ぶ朋美。

朋美は美人だけど、地味な服を着て、図書館司書の職に就くような保守的なタイプよねえ。


なんだかんだで朋美に会いに行く夏子は、もちろん朋美のことが好きだし、

朋美の選択に対して、納得が行っているわけではないよね。

だから、朋美の恋人の男性に、「もうやった?何回やった?」とか「朋美にしたみたいにキスして」って迫るのよねえ。

ここらへんの切なさ、胸が痛いよ。


「夏子は強い」って朋美は言うよね。

自由奔放で、男性の友人と兄弟みたいにじゃれて住んでる夏子だけれど、繊細だよね。

繊細じゃなかったら、一緒に住んでいる友人・光司と別れてしまうことに、傷ついたりしない。

劇中で、夏子と光司は寝るんだけれど、ぎこちなさと後悔への加速が、観ていて辛い。


ここで、夏子と光司の関係に焦点を当てていくんじゃなくて、あくまで友情あるいは何らかの愛情を確保しつつ、

数年後に光司は、別の女性と結婚するんだよね。

レズビアンという生き方と、友情は、確保したまままで。 良いね。


夏子は大学のレズビアンサークルに所属してるんだよね。

夏子はそこで、楽しくやっていきたいって思ってるんだけれど、次第に雲行きが怪しくなってくるんだよね。

フェミニズム運動と起源を同じくするような、政治的な活動にサークルの関心が移っていくんだよねえ。


「レズビアンだからって、闘わなきゃいけないんですか?」


って夏子は言うのよね。そりゃそうだ!

すべてのレズビアンが団結して、政治的な企てに関与する妥当性なんてないものねえ。



レズビアンの恋人と駆け落ちした母を探して上京してきた女子高生カナを、大政絢が演じてるんだよねえ。

夏子の「レズビアンなんて嫌い?」って問いに対して、「レズビアンは嫌いだけど、あなたは好きです」ってカナは言うんだよ。


そうなのよね!誰かを好きになるってのは、セクシュアリティうんぬんが関係あるとしても、

「特定の誰かを愛する」っていう、個人レベルの話に還元されるのよね。


ここの夏子とカナの掛け合いが、自分の生き方に自信をもっていて、爽快な気持ち良さ!


数年後、主婦になって子どもがいる朋美に会いに行く夏子。

夏子はそこで、「駆け落ちしよう」っていうよね。 ぎこちながら笑って拒否されるわけだけれども。

情緒、を、揺さぶられる。


夏子役の清水美那さんの髪型が好き!だし、演技も上手いね。



喪失はあるんだけれども、希望のもてる映画でしょう。