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岡崎京子 『ヘルタースケルター』

を読む。

まずもって、表紙が秀逸。

岡崎京子っていったら、
混沌とセクシュアリティの漫画の名手というか、筆頭なんだろうけれど、
実はそんなに好きじゃないんだよなあ。

主人公のりりこはとんでもない攻撃性と激しさでもって
どんどん加速していく。周りを巻き込んで派手に転がり落ちていく。

岡崎京子が描く人物は、
思慮が足りなくって、すんごく低俗。
女子高生の会話なんか特にそうで、知性のかけらもない。
自分がばかだってことも自覚してるし、自分と同じかそれ以上に、周りもばかだと思ってる。
いや、ばかだと思いたいんだ。
脅かされないために。
品性なんて一朝一夕でどうにもならないし、彼らはそんなものは求めちゃあいない。
という、ポーズを取っている。

愚鈍じゃいられなくて
とても繊細で、
いろいろなことに気付いてしまう。
目が届いちゃう。


必死で生きてる、破滅に向かって。派手に終わろうとしてる。


岡崎京子の描くセックスはえろくないよなあ。全然。
強弱関係を示す手段でしかないみたい。

だから、いいのかな。







えろい。

わたし、前に
あなたに知り合いから「えろい、って言われた」って話したことあるよね、

そしたら、「えろい、なんて下品な言葉だ。お前の口からそんな言葉聞きたくない。そんな奴と付き合うな」
って、すんごく怒りを顕にしたよね。
わたし、その時、信じられないくらい幸せだった。
どうしてわたしのこと、高尚な存在として、軽蔑してくれるの、って。
ちぐはぐな欲求を満たしてくれるの、あなただけよ。