「セックス・ボランティア」 河合香織 著
を読んだ。
本当はずっと前に購入していたのだけれど、
後回しにしていて、先日やっと頁を開いた。
「セックス」は、生物としての人間の重大なテーマの一つである。
いくら人間がポリス的動物で、理性的動物であっても
水と肉で構成された生物としての本能がある。
セックスとはなんなんだろう
自己複製という目的の手段に過ぎない、と言いきってしまえば簡単だけれど
人間は理性的でもあると同時にきわめて情緒的でもあって
社会は、効率の悪い交配を促進する
人間は理性からも、感情からも逃れられない
だから、理由を必要とする
無意識に、本能的に。
そうやって輪郭作ってしまわないと、きれい好きなわたしたちは絶望してしまうから。
結局、ロゴスで「身体」を懐柔することはできないということなんだろう
身体と、その中身の整合性を求めても意味のないことなのかもしれない
それでも、私は考える、見つけようとする。
もっともらしい、だけじゃなくて、感情を納得させる定義付けを。
「セックス・ボランティア」は障害者の性という如何にも世間の注目を集めそうなテーマを扱っているけれど、
その実、ある共通点を持った人々の性体験をルポ形式で綴ったものにしかすぎない。
ある共通点というのは、障害者であることだけでなく、
性に対して比較的オープンな捉え方をしているということだ。
セックスの捉え方は千差万別で、それこそ人の数だけ存在する
言うまでもなく、すべての障害者が同じ価値観を共有しているはずもない
これは一端に過ぎないのだ
この本を読んで、すべて「分かった気」になってはいけない
それでも、切欠にはなる。
もうタブー視はできないのだと、気づかされる。
その意味で、「セックス・ボランティア」は興味深い。