不安とかそういうの、ないわけじゃない


「ジョゼと虎と魚たち」を観た

「メゾン・ド・ヒミコ」の犬童監督、脚本の渡辺あや氏が
注目され、評価を高めた作品。
そういうのを踏まえた上で見るのと、
なんの先入観も無しに見るのでは全く違ってくると思う

う~ん…
「メゾン・ド・ヒミコ」の前にこれを見ていたら
あ、そう
程度の淡白な感想しか持ち得なかったと思うが、
メゾン・ド・ヒミコの監督・脚本・スタッフがってところで
やっぱり見方が変わってくるもんで。

いやぁ
脚本の渡辺あや氏の言葉のセンスが秀逸で、
映画としてちゃんとまとまっていると思う
池脇千鶴の剛健そうでいて繊細な演技と
恒夫のタフで脆弱な部分を支えきった妻夫木聡の演技もいい。
役者の魅力で乗り切っている部分も大いにあると思う

賛否両論のラストシーンですが、
私は「賛」だな
全く後味が悪くないし、
最後のジョゼの佇まいが小気味いいじゃないですか
これは決してアンハッピーエンドではないと思うな

これで恒夫とジョゼが結婚でもしたら、興ざめだし、
私の理想としては
ジョゼは新井くん演じるヤンキー兄ちゃんともくっつかず、
これから先の人生をたった一人で生きていって欲しいと思う
愛された記憶を抱えて慈しんで、一人で立っていてほしい

悪い言い方をするが、
あんな偏屈な女がさ、誰かに求められるなんてことは
よっぽどの酔狂なヤツ以外にはありえないわけでしょ?
一人の人間としてジョゼを見たら、やっぱり一緒に歩んでいけないよ
ジョゼは身体障害者だってことを武器にしてるのは認めてる
確かにそれは不可逆的なものだし、自分に落ち度はないんだから
居直るのも当然といえば当然なんだけど、
人間として大切にしなきゃいけない部分である
他人への気遣いや親切がジョゼには全く見受けられない

人にしてほしいことばっかりで、
誰かをつなぎ止めておけるわけないだろう

後悔しない潔さには激しく憬れるんだけれども。

愛された記憶は女を強くするね
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