灘中2024年(2日目)大問1 問5 が変だった件

 

 

 どちらであっても、答えは同じかもしれません。しかし、その答えを書くために、受験生は時間を費やして文章を読むのです。あいまいさを感じる力のある受験生ほど、無駄に時間がかかってしまうというのは、読解力を見るという国語のテストの目的と矛盾しています。

 一見、言葉が平易でやさしい文章ですが、そのやさしさには、書き手の持つ「言葉や読者への甘え」が伴っています。そういう本が悪いのではなく、そういう本は恋人同士の蜜月のように、ひっそりとした関係性の中で、甘えを前提に読まれるべきものであって、国語のテストとして、客観的な採点基準を与えられたり、切り刻まれたりするもの――つまり、「読解」するものではないのです。