プラトン『パルメニデス』第2部を読む㉑

 

 

 

Ⅲ 前提 一について〈ある〉が肯定されるならば、

  結論 一は~でもあるし、~でもある。

※Ⅲから結論部分が一以外のものになりました

 

 「一以外のもの」は、「全体として」も「部分として」も、「無限」でもあれば、「限界」をもつものでもある。また、「一以外のもの」は「相互的」にも「自分自身」にも、「似ている」とともに、似ていないとも言える。「一以外」のものは、本来的に「無限的である」という点において、そして「限界を分有する」という点において、「同じ」規定を受け入れている。その一方、二つの規定は「反対」の規定であると言える。この点については、「異同」「動静」などの規定についても同様なので、以下省略する(とパルメニデスは言っている)。

 

Ⅳ 前提 一について〈ある〉が肯定されるならば、

  結論 一は~でもあるし、~でもある。

※Ⅳから結論部分が否定になりました

 

 「一」と「一以外」ですべてが尽くされる(それ以外のものはない)。したがって、ある「何か同じもの」のうちに、両者(一と一以外)があることはない。つまり、「一」と「一以外」は別々にある。また、「一」は「部分」をもたない。

 以上から、「一」は「一以外のもの」のうちに、全体としても、部分としてもあることはない。つまり、「一以外のもの」は「一」を分有できないのである。したがって、「一以外」は「多」でもありえない。「多」の部分は、それぞれが「一つ」でなければならないからである。

 ここから、「一以外のもの」は、類似性も不類似性も持たないことがわかる。類似性と不類似性をもつと、自身のうちに「二つ」の種目をもつことになるからである。同様に、大小・異動・動静などの規定はいずれも受け入れることはない。したがって、「一」も「一以外」も、「すべてである」とともに、「無である」ということになる。