プラトン『パルメニデス』第2部を読む⑯

 

 

 

Ⅱ 前提 一について〈ある〉が肯定されるならば、

  結論 一は~でもあるし、~でもある。

※Ⅱから結論部分が否定から肯定になりました

 

 ⑦の否定´の続き 「一」は「自分自身」に対しても、「一以外」に対しても、等しくもあり、大きくもあり、小さくもある。

 「存在するもの」のうちには、「小」は内在しないことが、すでに示された。「小」の反対のものである「大」についても、同じことが言える。「大」が何かに内在していれば、「大そのもの」より「もっと大きな別のもの」があることになる。すると、「大そのもの」は「大」ではなくなってしまい、内在していたはずの「大」が、「小」になってしまうからだ。

 以上をふまえて、「大そのもの」は「小そのもの」に対してだけ「大」であり、「小そのもの」は「大そのもの」に対してだけ「小」であると言える。大小は両者の相互の間にだけ言えることなのである。したがって、「一以外のもの」が、「一」より、大だったり小だったりしないし、「大」や「小」も、それ自身で「一」に対して、大だったり、小だったりしないのである。また、「一」が「他のものより、大だったり、小だったりもしないので、「一」は「自分自身」とも、「一以外」とも等しいのだと言える。

 次に、「全体としての一」は、「部分としての一」を取り囲んでいるので、前者は、「自分自身(部分としての一)」より大であり、後者は「自分自身(全体としての一)」より小である。

 最後に、「存在するもの」は、「一」か「一以外のもの」である。「存在するもの」というのは、どこかに「ある」ということなので、「何かのうち」にあるということである。「一」が存在するためには、「一以外のもの」のうちにある必要がある。この場合、「一」は「一以外のもの」よりも小である。「一以外のもの」が存在するためには、「一」のうちにある必要がある。この場合、「一」は「一以外のもの」よりも大である。