プラトン『パルメニデス』第2部を読む⑭

 

 

 

Ⅱ 前提 一について〈ある〉が肯定されるならば、

  結論 一は~でもあるし、~でもある。

※Ⅱから結論部分が否定から肯定になりました

 

 ⑤´の否定の続き 「一」は、「自分自身」とも、「自分以外のもの」とも、「接触する」とも言えるし、「接触しない」とも言える

 ⑤の否定より、「一」は、「自分自身のうちにある」とともに、「他のもののうちにある」とも言えるので、前者からは、「自分自身に接触している」ことが、後者からは、「一以外のものに接触している」ことが言える。

 ここで、「接触するもの」というのは、「次につづくところ」に置かれているもののことである。したがって、「一」が「自分自身」に接触するとき、「一」は「自分自身」のあとにつづく場所を占めることになる。そうなると、「一」が同時に「二つ」の場所に生じることになってしまい、「一」ではなくなる。したがって、「一」が「自分自身」と接触することはありえない

 また、「接触」とは、中間に第三者を存在させないことであり、最小「二つ」のものによって成り立つ。接触は、「二」がなければ成立しない。しかし、「二」は「一」ではなく、「二」は「一」を分有しない。したがって、「一」には、「接触はない」。つまり、「一」は「自分自身に接触しない」

 次に、「一以外のもの」は、「一」ではない。「一」がないのだから、その集合である「数」はない。したがって、「二」も存在しない。「一以外のもの」にも、「一」にも、接触に必要な「二」が存在しないことから、「一」は「一以外のもの」とも接触しないと言える。以上のことから、「一」は「自分自身」とも「一以外のもの」とも接触しない。