プラトン『パルメニデス』第2部を読む⑧

 

 

 

Ⅱ 前提 一について〈ある〉が肯定されるならば、

  結論 一は~でもあるし、~でもある。

※Ⅱから結論部分が否定から肯定になりました

 

⑨の命題の否定 「一」は「ある」を分有している。「一」が「ある」とすればという前提は、「一」と「ある」が同じであることを意味しない。もし同じなら、「一が一ならば」と同義になってしまう。また、「一の有」というように「所有の格助詞」で結ぶことができるので、「一」と「有」は別物であると考えるのが自然だ。

 したがって、前提となっている「『ある』ところの『一』(「ある」と「一」を関係代名詞で結んだもの)」は「全体」であり、「ある」や「一」は部分であると言える。

 このとき、「ある」と「一」は「全体の部分としての『ある』」「全体の部分としての『一』」であるため、単独で分離することはできない。単独で分離すると、単なる「一」「ある」になってしまう。つまり、部分として含まれている「ある」は、分離不可能なものとして「一」を分有していることになる。同時に、部分として含まれている「一」も、分離不可能なものとして「ある」を分有していることになる。さらに、それぞれの部分は、「ある」と「一」が合わさったものであるから……と考えていくことができる。つまり、それぞれの部分は、最小二つの部分から成るため、「ある」ところの「一」は、無限(偶数)であると言える。

 また、ここで「思考の上で」、単独の「一」のみを取り出して考える。「一」は「有(あるところの)」とは「異なる」ものだが、「異なる」は、「一」にも「有」にも内在していない。このことから、「一」でも「有」でもない「異なる」によって、両者は「異なる」のだとわかる。 

 次に、これら三つのものから、任意で二つのものを取り出し一対のものとする場合、全体として「一つ」でありながら、部分としては「二つ」であると言える。さらにここに任意の「一つ」を加えると、「三」を作り出すことができる。

 

※ここでの分離不可能であるという考え方は、さまざまなインスピレーションの源泉となっています。

 

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