6月3日早朝。
お義父さんが亡くなりました。

最後の最後まで周りに感謝を。

そして、
お義母さんへの愛を。

病院へお見舞いに行き、
体調が良さそうなら、
ホームにいるお義母さんを連れてこようか?と聞くと。

連れてきてくれるか?
おばあちゃんに会いたい。
顔見たら安心するんや。
おばあちゃんは、おじいちゃんの一番大事な人やから。

ホームから連れてきて、
病院のデイルームで会うと、
お椅子をくっつけて、
手を握りあって、
お義父さんは、お義母さんの髪や頬を撫でて。

もうお医者さんから、
すべきことがありませんと、
言われて。
お義父さんにはそれを伝えなかったけれど。
たぶん自分でわかってはって。

お見舞いにいくと。

幸せな人生やった。
おばあちゃんと結婚して。
あんたらにようしてもうて、
えー孫に6人も恵まれて。
幸せやった、

と。


なっきぃちゃん、
体にきをつけや。
しんどいのにな、忙しいのになぁ。
ありがとうな。


日曜日の早朝になくなったのに。
病院からご遺体として出るときに、
わざわざ主治医の部長先生が
間に合うように病院にかけつけて来てくださって、
残念です。
何度も奇跡をおこしてきはったから、
もう一度と僕らも思ったんですが、
でも、苦しまずに...
お母さん、お父さんすごい頑張りはったよ。
だからね、お母さん元気でいてね。

とお義母さんの肩を撫でてくださって。


婦長さんも、ほかの看護婦さんも泣いてくださって。

病棟でお義父さんがどんなふうに過ごしてきたかが、わかる。


人柄。


それが、すべて。


アルツハイマーのお義母さん。

だけど、わかってはるの。
ちゃんと。


お父さん、ありがとう。
頑張るで、心配せんと、見守っててや。
お空を見上げて、ええ天気でよかった。
雨やったらな、よけい悲しい。
お父さん、喜んでる。


何度も、何度も。


会ったときから、ずーっと、
ロングヘアーだった、わたし。


ショートヘアーの頭を、
子供にするように、
くしゃくしゃっと撫でてくれて、
綺麗やで、と言ってくれはったこと。
忘れません。

二人とも病気で産まれたわたしの子達と、
実の娘のお姉さんの四人の元気な子達と、分け隔てなく、
ううん。
それ以上に愛してくれて。

たった一人、孫の中で女の子のうちの娘を
会うたびに、
愛しい、かわいい、優しい、うちの孫娘はべっぴんさんやで~、見てみて~と、財布に娘の写真をいれて、人に見せるお義父さん。

お義父さんの家のリビングには壁一面に孫たちの写真。
そのなかで一番多いのは娘の写真。
そして、字を覚えた娘がおじいちゃんちに幾度に書いていたお手紙は、
全部引き出しに残してあります。


息子のことは、優しい子や。
一番ええ子や、と。
病気のことで色々しんどい思いしたから、
人の痛みのわかる子や、と。


実の父を亡くしたときと
喪失感は変わらない。


ただ、違うのは。
私がガンに罹患し、
死を間近に感じるようになったこと。


私がもし、
早く逝くことがあったら。


こんなふうに、逝けるのか。

恐怖と不安と絶望を口にして。
周りに悲しみの爪痕を残して、
逝ってしまいそうだ。


それは、
お義父さんは82歳だから。
なっきぃは、まだ若いから。
と、言ってもらえそうだけど。


違うな。
自己中でわがままな自分のことは、
自分が一番ようわかってる。


お義父さん。

泣き虫のわたしに、教えてくれたのよね。

結婚してから
注意されたことも、
嫌な顔されたことも、
1度もない。

旦那さんの実家のこたつで
お昼寝して、
気持ちよかった~と起きる、
どうしようもないお嫁さんのわたしに。


言葉ではなくて。
態度で。


なっきぃちゃん照れって。
教えてくれたんよね。
大事なことを。


お義父さん。
ありがとう。


今日も
お義父さんの大好きな青空です。
お別れです。