占星術の入門書に書かれていた
「あなたは偉大なる芸術家です」という言葉。
振り返ってみると、私はその通りの人生を歩んだわけではない。
名声を得たわけでも、大きな作品を残したわけでもない。
その意味では、あの言葉は当たらなかった、と言えるのかもしれない。
ただ、最近は少し違う見方をするようになった。
そもそも、あの入門書は不特定多数の初心者に向けたものだった。
個別の人生を精密に描くものではなく、
星の配置から導かれる「傾向」や「方向」を、
分かりやすい言葉に翻訳したものだったのだと思う。
「芸術家」という言葉も、
職業そのものを指していたのではなく、
象徴的な意味を含んでいたのかもしれない。
表現すること、内面を形にしようとすること、
完成よりも過程に意識が向くこと。
そうした傾向は、確かに自分の中にもあった。
しかし、私は芸術家として生きる選択をしたわけではない。
その環境を選んだわけでもなく、
その方向へ強く意志を向けたわけでもなかった。
占星術が示していたのは「必ずそうなる未来」ではなく、
ある条件のもとで現れやすい可能性だったのだろう。
そう考えると、
当たらなかったというより、
別の形で現れた、と言った方が近い気がする。
占星術は、未来を断定するものではない。
示されるのは、あくまで傾向や可能性だ。
そして、その可能性をどの形で生きるかは、
結局のところ、自分自身の選択に委ねられているのだと思う。