『あなたについて知っていること』

 エリック・シャクール

 加藤かおり 訳


ターレクはカイロにある

レバノン・シリア・ヨルダン・パレスチナから

やってきた人々の狭いコミュニティの中で

暮らしていた。

敷かれたレールのまま

医者になったターレクは

14年ぶりに再会したミラと結婚し

順風満帆の人生を歩むはずだった。

ゴミ捨て山に住む

19歳のアリーに会うまでは…


宗教も階級も異なるふたり


古い慣習に凝り固まった勝ち気な母

ターレクを愛しているがゆえに

寂しさと手を切ることができないミラ

兄思いでしっかり者の妹ネスリーン

いつもターレクに寄り添う家政婦

ファトヘイヤ


登場する女性たちが

しっかりと物語を支えている。


舞台はカイロとモントリオールを行き来する。

時間もまた。


この物語の中で

ターレクは「あなた」と

表現されている。


微かな違和感と距離感が

物語の後半で

「あなた」に込められた

思いの強さを知るとき

それが切なさへと

変わっていく。


始めはなかなか読み進められなかったけれど

途中からはページをめくる手が

止まらなかった。



光子はほんの小さな粒子だ…。で、どうやら、

光子のふたつがその存在のある時点で相互に

作用すると、それらは永遠につながることに

なるらしい。

中略

ふたつの光子は永遠に結ばれる。もつれ合う。

たとえコミュニケーションを取らなくても。