*去年のポルトガル旅行の日記を当時のまんまUPしてます


2006529

1030のリスボン セッテリオスの長距離バス乗り場からラーゴスへ


1415分到着予定の3時間45分の旅

その間に 成田で買った 村上龍の「4girls 2days」を読み終わる

数年ぶりに村上龍の新作を読んだのだが、考えていることテーマ的には自分と近いことを考えているようだ(そういう話で友人に薦められたというのもあるのだが)

セックスやSMなどに関わる女性が多く登場して、そういう世界が舞台になっているのは、だいぶ前から同じなのだが

そういう女性の多く(この小説では登場する女性はだからこそ主人公が接触するわけだが)は自分を過小評価することしかできない

それは育ってきた環境だったり、そういう中でできあがるので 自分が愛されることや 必要とされるという概念そのものを持てない

自分の価値が認識できないので セックスなどの具体的に相手との関係性が見えるものに依存する

そういう相手に自分(主人公)は関与することはできるのか? なにかを与えることはできるのか?

という デカダンスなものを肯定して、性や暴力の過剰な肉体性を描くことで快楽や実感性というものを描いてきた作家としては 常識的で説教ぽい事のように感じる

近年の教育や経済に関するエッセイや仕事が棘を抜いてしまったのか?

ただ俺自身は 問題を抱える若年齢に対しての取材によって まあある程度近いことを考えるようになっている

でもこの小説では村上龍は そのテーマに対する答えは出してないし

それどころか 作品として消化も対象化もできてない ただ自分はそう考えるということを書いているどまりで 作品の売りとしてはやはり旧来の過剰な描写を描く事でサービスしてしまっている気がする

これは難しい問題なのだろう

この小説だって突き詰めてしまえば 愛や自分の価値をわからないで性ビジネスに身を置く女性に 自分の価値を教え与える という古臭くて偽善的な話になってしまいかねない

ここでは語り手である男(壊れた女性をオーバーホールしている)は常にそれを疑うことで成り立っているわけだが

バブルの時や高度成長期の時などは そのポジティブな世相の中で見逃しがちなネガティブな部分や それに対比する忘れられる大事なもの(経済成長の影の人情であったり、自然であったり)を描く事が有効であったりする

それじゃそうではなく 今のような時代に何を語れば 有効なのか?

それはありふれた 当たり前の事に行き着いてしまうのかもしれない それ自体を世間が忘れてしまっているのだから

でもそれを文学、表現として語ることは非常に難しい

快適な生活、楽しく生きている人は世の中にはいて それじゃなんでその人はそうなのかと言えば それは自分が好きなことをわかっていて

スキルを磨く術を知っていて なんらかの能力を持っているから、

だから世の中に必要とされていて それで仕事もあるし 楽しく生きられるんだ っていうあたりまえのことを

まあ俺らの友達であり周りは そんなことを今更言わなくても当然で みんなそう生きている

だからそんなことを表現にする必要はない

でもそういう概念の無い人達、またそういう親や環境で育てられた子供はたくさんいて そういう子供はその概念自体がないから うまく伝えることができない

もっと発展途上国であったり 国として切実な問題を認識しているなら それはそれで問題定義として表現を伝えることもできるだろう

しかし日本では そういう問題があくまで個人の性質の問題で見られているところに大きな壁があるのだ

だからそうでない人にとってはあきらかに他人事である

本当に難しいことだと思う

  

さてラーゴスに着いた ホテルは素晴らしくなんとプールまである4つ星

豪勢な話しであるが、まだ5月なので安いのである 1泊51ユーロ

もちろん7月ともなれば倍くらいになるだろうが、地方で一応まだオフシーズンなので安いのだ

これなら30ユーロで安いところに泊まるより ここのほうがお得でなかろうか?

オフシーズンとはいうものの気温は高いので夏気分

でもリスボンで33度とかあったわりに ここは27度くらいで気温は少し下がる

別に南に行けば暑くなる と単純に考えているわけではないのだが、位置ではスペインで言えばアンダルシア スペイン内では一番暑い所

バレンシアよりマラガのほうが暑い

海の潮の流れとかの影響があるのだろうか?わからないもんである

ここは海沿いとは言うものの ホテル、旧市街の側はビーチでなくマリーナになっている

ビーチはちょっと離れているらしい

旧市街を散歩する 本当に素晴らしい

思ったよりも大きく賑やかでいくつものレストランなどで賑わっている

石畳に白壁の建物が立ち並び この地方独特の風情がある

大好きな感じだ

ユーロ2004の時にこのそばのファーロには行ったことがあるが ファーロよりはるかに大きな旧市街だ

続く…