妄想blです。

お嫌いな方はスルーで。

「おーい！まつずーん！！」

玄関先で大野さんが潤くんを呼ぶ声が聞こえる。

キッチンに立って料理をしてる潤くんは手が離せないから代わりにオレが大野さんのとこに行くと、その両手いっぱいに抱えていたのは舟盛り。

「･･･どうしたの、それ･･･。」

その大きさにビックリして、思わず聞いた。

「あの居酒屋の大将が届けてくれたんだよぅ。

すげぇ豪華だぞ！！」

何点盛り？って言いながら数える大野さんはものすごく嬉しそう。

両手が塞がってる大野さんの代わりにドアを開けて、ダイニングのテーブルの中央にそれを下ろすのを手伝った。

「相葉ちゃんは何時に来るって？」

「今日は早上がりだから７時には来るって。かずの先生は何時くらい？てか、場所わかるかな？」

「櫻井先生もそれくらいには来ると思うよ。場所わかんなかったら連絡してとは言ってるけど、大丈夫じゃない？」

「じゃあ、今のうちにアレやっとこう！」

大野さんがいつもみたいにふにゃって笑って、奥の部屋に消えた。

ん？アレってなんだろう。

「潤くん、アレってなに？」

「いや、俺も知らない。何だろうね？」

二人で顔を見合わせて、首を傾げて。

消えた大野さんを待ってるとガコンって音が響いた。

「なに？！どうしたの？！」

消えた大野さんを追いかけようとしたら、何だかでっかいパネルみたいなものを抱えガニ股でゆっくり現れた。

そうして、よいしょって床にそのパネルを立てて。

「にの、そこの椅子取って。」

倒れないように片手でそれを支え、反対の手でダイニングの椅子を指さす大野さん。

「･･･なに、それ。」

まだ裏側しか見えてないそのパネル。

覗き込もうとするオレを手で制してふふふって、ちょっといたずらっ子みたいに笑う。

「これがないと、パーティーは始まらないだろ？」

オレが持ってきた椅子に登ってそのパネルを天井から下がるピクチャーレールの金具に引っ掛けた。

現れたそのパネルは、オレが撮った潤くんの写真。

今回のコンペに応募した作品だった。

「ちょ、どうしたのコレ！？」

「気に入ったから、でっかくした！」

でっかくした、って･･･

その発想が何か子供みたいで、椅子の上に立ったまま見下ろすその顔がドヤ顔感がスゴくて。

呆気に取られて言葉が出なかった。

キッチンに立つ潤くんも同じみたいで、壁に掛けられたパネルを見つめて呆然とした顔してる。

『ピンポーン！』

インターフォンの音ではっとして、壁の時計を見ると約束の時間の少し前。

「お？相葉ちゃんかなー！？」

呆然としてるオレ達を置き去りに、大野さんが玄関に向かった。

宵待つはうたかたの中で。36