先週発売の「週間文春(6月17日号)」に、菅直人さんの子どもの頃から現在の至る道のりをかいつまんで紹介する記事が出ていた。
 面白いと思ったところをいくつか引用する(太字は私)。

 人間関係について
<強い自尊心とは裏腹に仲間が集まらないのが、菅の弱点でもあった。
「イラ菅についていけない議員も多い。カネを配らないから子分も集まらない。…」>

 趣味の囲碁について
<「小沢と囲碁を通じて縁ができたというほど、菅も囲碁が好き。国家戦略相は暇なのか、副総理室で、パンダネットという囲碁のゲームに熱中していた。でも、国会では目を瞑ってばかり」(官邸担当記者)>

 経済に関する知識と英語力について
<藤井裕久氏の体調不良を受け、今年一月には財務相に就任するが、「驚くほど経済用語をご存知ない」(林芳正元経済財政担当相)。その上、G7では、各国の財務相が休憩の合間に歓談する中、英語が不得意な菅は仲間はずれ。
「九九年頃、議員会館にアメリカ人英語教師を呼んで、週二時間レッスンをしたんですが、カタカナ英語のままで、上達しなかった。横文字に弱く、先日も『FTA』を思い出せなかった」(菅事務所関係者)>

 自尊心が強く、カネを配らないために子分が集まらず、副総理室で囲碁に熱中し、英語力が弱く、経済に関する知識が乏しいという、さえない人物像が描かれている。
 もっとも、語学ができたり経済の知識があったりすることと、権力争いに強かったり総理大臣という立場に向いていたりすることは、まったく別というか、しばしば、逆だったりする
 語学や経済の知識が総理大臣にとって決定的に重要だとすれば、宮沢喜一さんは、長く総理大臣を務めて多くの業績を残していたかもしれない。あるいは、今ごろは、舛添要一さんが総理大臣になっていたかもしれない。が、現実はそうではない。
 また、囲碁に熱中して、普天間問題などの難しい問題に関わらなかったので、傷がつくこともなく無事に総理になれた。ということも言えるのかもしれない。それにしても、囲碁をやるくらいだったら、経済・財政に関する論文を読むとか、もっとやるべきことはあるように思うのだが。
 一方、菅さんの長所については、ほんの少しだけ書いてあった。

 長所について
<社民連時代からのブレーン・篠原一東大名誉教授は、「時流を読むことに柔軟だった」と分析する。>

 はっきり菅さんの長所に関する記述だとわかるところは、この記事ではこの部分しかなかった。まさに、ワンフレーズしか書いていないのだが、この部分は重要だと思う。
 経済や英語に弱く、子分をつくることが得意でなくても、時流を読むことに柔軟であれば、政治家としてうまくやっていくことができるのだろうか。
 少し荒っぽいが、事実を積み重ねて先入観なく素直にまとめた記事だと思う。しかし、たった4ページの週刊誌の記事なので、いろいろと重要なことが抜けているかもしれない。「ざっと一通り取材して、簡単にまとめた感じだと、こういう結論になる」というところなのだろう。
 だが、これはこれで、それなりに意味のある結論だとも思う


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