「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド」124ページに「英語ができると年収が1.5倍に」と書いてある。そして、英語ができることと収入の間にどういう関係があるかという調査について次のように書いてある。

 うそくさいと思われるかもしれませんが、本当の話なのです。だいたい、英語ができると、年収が今の1.5倍くらいになると思ってください。
 実際に、大阪府立大の鹿野繁樹講師がリクルートと共同で一万四千人の女性について集計したところ、英語を職場で使う女性のほうが、使わない女性よりも、約四十パーセント収入が高いという調査結果が出ています(なお、男性は十八パーセント高いだけです)。 

     (「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド」124ページ)

 今回はこの部分について考えてみる。
 どんな仕事をしている人をどのように調査したかわからないが、結果自体はアンケート調査に基づく信頼できるもののようだ。
 この本で具体的に英語ができると収入が高くなる仕事の例としてあがっているのは、「財務関係の仕事」「秘書やアシスタント」「営業職」である。
 世の中にはこれ以外にもいろいろな仕事があるが、確かに上記の3つの仕事を合わせるとかなり幅広い立場の人がカバーできそうだ。
 もちろん世の中には上記以外にいろいろな仕事がある。
 思いつくままにあげてみる。

 医者・弁護士(及び裁判官などの司法試験合格者)・司法書士・技術者・自営業(商店)・自営業(農家)・国家公務員・地方公務員・教員・警察官・塾講師などなど。

 もちろん、世の中にはこれ以外にもさまざまな職業があるが、きりがないので、この程度の範囲で考える。
 医者・弁護士・司法書士は、英語ができなければできないで高収入を得る道はありそう。
 医師の場合は、国立病院の医師という公務員の道もあるし、婦人科や心療内科などで独立して(日本人だけを患者として)高収入の女性も多い。
  司法試験合格者の場合も、裁判官・検事という公務員の道もある。女性の裁判官や検事もかなりいる。弁護士だと、もちろんちゃんと勉強して立派な渉外弁護士になれば、収入は非常にいいかもしれないが、日本人だけ相手に、多重債務者の自己破産や消費者金融の過払い金請求などで数をこなして高収入を上げている人もいる。もちろん、顧客との関係が人間関係のかなりの部分を占めるから女性だからというハンディは少ない。といっても、自己破産や過払い金請求で稼げるのは、いつもいつもというわけにはいかないかもしれない。やはり、渉外弁護士(国際弁護士)の方が安定して高収入ではないか、という感じはある。新司法試験で弁護士の数が増えれば、「英語ができる」ということはかなり大切になるかもしれない。
 司法書士だと、銀行などからお客さんを紹介してもらって、登記中心に数をこなして稼いでいる人がいる。
 勝間氏が学生時代に取得した公認会計士補の資格は、医師国家試験・司法試験・司法書士と比べると英語ができるかどうかが一番関係ありそうな資格だと思う。
 技術者の場合、自分の技術に関係ある英語だったら、いやでもできるようになるそうだ。が、一般的な英語力でTOEIC何点くらいとかいうことはあまり関係ないかもしれない。
 自営業(小さな商店など)は、英語ができれば何か海外からものを輸入して儲けようなどという工夫はできそうだが、そんなことは考えない方がいい場合もありそう。微妙なところだと思う。
 自営業(農家)は、よほど工夫してなにかやろうという人以外は必要なさそうである。
 国家公務員の場合、国際派でも国内派(民族派)でも国内にいる時の給料はかわらないだろう。ただし、海外にでればいろいろと手当てがつくから、英語ができた方が生涯賃金で見た場合少しは高めになるかもしれない。でも、基本的には大した違いはなさそう(外務省職員の給料が高いということは全部の省庁の中では少数派のことなので考えないことにする)。官僚の世界は、民間企業に比べると女性で出世している人が多いと思う。
 一番、英語が関係なさそうなのは、地方公務員・教員・警察官・塾講師などである(英語の教員や一部の例外を除く)。英語ができてもできなくても収入はほとんど変わらないだろう。
 こうして見てくると、世の中には英語と関係なくできる仕事も多いが、英語ができた方が得することもある程度はあるようだ。 
 「女性の場合、英語ができると年収が1.5倍くらいになる職種もある程度はある」ということは言えそうだと思う。
 特に、民間企業に勤める場合は、外資系の方が女性が能力を生かしやすい面は、確かにあるようだ。
 ちなみに、一番女性が出世しない職種は、マスコミだと思う。日本の大手のテレビ局・新聞社で女性の取締役というのは聞いたことがない。
 なお、アジアに進出しようとしている欧米の企業の側からみると、「上海・香港・シンガポールは英語でビジネスができるが、東京は日本語ができないと苦しいので、アジアに進出する場合に東京以外になってしまう」ということがあるようだ。
 

勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド (ディスカヴァー携書 022)