特急『あずさ』『かいじ』運用から外れ、『踊り子』への転用が完了したE257系ですが、現在も臨時列車用として改造工事が進められている編成があります。是非、拝める機会があれば拝んでみたいものですが・・・。
ところがE257系の中には残念ながら、改造されることなく廃車になってしまった車両もありました。特急『あずさ』『かいじ』で活躍していた時代に、東京寄りに増結していた2両の付属編成です。E257系は9両編成を基本にしていましたが、利用者が多く見込まれる便に関しては、東京寄りに2両の付属編成を連結した11両編成で運行されてきました。東京寄りの先頭車はきちんとした運転台が設置されていたものの、松本寄りの先頭車は構造がほぼ中間車に近く、駅での連結や車両基地内での入れ替え作業などの際に使われる簡易運転台が搭載されていました。9両編成だと東京寄りの先頭車が貫通構造であったのに対し、11両編成で走っていた際は両方の先頭車が非貫通の構造になっていたため、編成としての美しさを大いに感じ取ることができました。
この付属編成は2両編成5本の計10両が配置されていました。が、2019年春のダイヤ改正で『あずさ』『かいじ』の定期運用から外れてからは一度も使われることがなく、2020年6月に正式に廃車となってしまいました。基本の9両編成と比べて配置数が少なかったということもあり、改造してまで使い続けるという意味がなかったのでしょうか。全ての車両を何らかの方法で活用できる術があったのに・・・と考えれば、廃車は悔やまれることです。
因みに、E353系になってからは付属編成が3両となり、列車によっては基本の9両編成の東京寄りに連結した12両編成で運行されるようになりました。E353系の付属編成はE257系と異なり、両方の先頭車にきちんとした運転台があります。なので新宿~河口湖間を走る特急『富士回遊』のように、3両編成で営業運転に入ることができるようになっています。遠い将来、中央線特急から撤退する時が訪れたとしても、基本編成と付属編成共に、何らかの方法で活用し続けることができるようになるでしょうね。
ところで、付属編成といえば、こちらの形式に関しても気になるのではないでしょうか。
JR北海道の789系です。写真は元々、北海道新幹線開業前の青函連絡特急として使われていた時代のものになりますが、現在は改造工事を受けた基本の6両編成が、札幌~旭川間を走る特急『ライラック』で活躍しています。その一方で、青函連絡特急時代に使われてきた付属の2両編成2本、計4両に関しては動きがなく、廃車になっただとか、何らかの改造を受ける予定になっているだとか、何の情報もありません。たまにしか出番のない付属編成はとある路線で営業運転から退くと、どうしても使い道がなくなってしまう状況が生まれてしまうのですね。