10月10日(土)。その日は台風14号が日本列島の南を通過中の日でした。自分が住む地域は暴風域に入ることはありませんでしたが、前日から相当な雨量で翌日の朝まで降りっぱなし。しかし天気予報を見ると午後には止んで曇り予報です。
それならば雨上がりの雨滴を写真撮影するには絶好の機会です。先日、そういう写真を撮りに行ったのですが、イメージ通りの写真が撮れなくてちょっと不完全燃焼でした。



今回は一眼レフカメラの他に動画撮影用のアクションカメラを持って行きます。アクションカムで被写体を探しながら散策する様子を録画して、そこに一眼で撮った写真をインサートで所々に入れた動画を作ろうと思ってました。被写体を、アクションカムと一眼レフで対比させるのも面白いかと思いました。


雨上がり後すぐに行けば、葉や枝から水滴が滴り落ちる写真が撮れるかもしれない。しかも西の空には青空も見えている。逸(はや)る気持ちを抑え、足早に近場の山へと向かいます(前回とは違う山へ)。しばらく歩いて、ようやく山の入り口である林道に到着。この山域は近くの大きな山域からは離れた場所にあり、端から端まで歩いたとしても30分も掛からない。この狭くて小さな山に入れるルートは二つ。山頂の西側にある林道と東側にある登山道。しかし登山道はこの長雨でまともに歩けないでしょう。

残るルートである西の林道から入ります。山頂までは僅か10分足らずです。林道に入って登り始めたところで、竹が3本ほど倒れて道を塞いでました。台風の大雨と風で倒れたのでしょう。

「ということは、この山で畑をやっている農家さん達は、今日はまだこの山へ来ていないはず。農家さんはいつも車でこの林道を上がって来る。何より今はまだ台風が通り過ぎたばかりだし。」

 



林道をしばらく歩くと、登山道の入り口があります。登山道に入るとすぐに階段が現れて、それを登るともう尾根に出ます。




階段の入り口でなにやら音がすると思ったら鹿でした。

「ここで初めて鹿を見た。やっぱりいるんだ。」

鹿は尾根の斜面を駆け上がり、反対側に逃げて行きました。そして自分は階段を上って尾根に出ました。さっきの鹿らしき動物が尾根の下で何やらガサガサとやっています。



そして、ここから撮影タイムです。 尾根を山頂に向かって歩きながらあれやこれやと、良い水滴写真を探して思う存分シャッターを切ります。


実に楽しい。シャッターを切った後にカメラのモニターを見て、自分が思った通りの写真になっているかチェックして、なっていなければ設定やアングルを変えて何度も撮り直し。こうやって自分の理想の写真に近づけていく作業が楽しい。山頂までの短い尾根筋を、夢中になって水滴が付いた植物を探してはカメラに収めます。ですが、思ったほどいい写真も撮れませんでした。雨上がりすぐの割には水滴が少なかった。一応、1枚だけ載せておきます。



以前撮った写真とそれほど変わり映えしませんね。



そして、山頂に到着。

 

 

そこに生えていた松の枝に付いていた水滴を撮ってしばらく遊んで、撮るものが無くなったので下山することにしました。このまま山頂を越えて西側への下山は、前途したように雨でとても歩けたものではありません。というわけでピストン(登山用語で往復の意)で引き返します。



尾根を戻って、最初に登ってきた階段を降りて、林道に出て下山するのですが、タイトルにあるように問題はここの尾根を歩いていた時です。帰り道も被写体になりそうな木や草を探しながらゆっくりと歩いていました。



階段の近くまで歩いてきて、尾根の下にある竹薮が視界に入るところまでやってきました。その時です。

バキバキッ!

と、その竹藪から竹が折れたような大きな音が聞こえました。(この時の音が動画の2:03あたりに入っているので興味があれば聞いてみてください。音量を大き目が推奨。)



「!?」


かなり大きな音でした。

と、同時に多くのことが脳裏をよぎりました。

・ちょうど気温が上がってきたので竹が膨張して破裂したのかと思ったが音が大きすぎる。それに破裂音とは違う気がする。

・竹が折れた(踏んだ?)ような音だったが、それならばかなり重量級の物体が踏んだことになる

・車の音は聞こえなかった。農家の人が徒歩で上がって来て、荒れた竹藪を整備してるのか?それにしては破壊音以外なにも音が聞こえない。足音もしない。雨上がりとはいえ歩けば多少なりとも足音がするはず(←自分で歩いてきたので地面の状況は知っている)

・鹿や猪が竹を踏んでもあんなに大きな音はでないだろう

・まさか熊?ここは大きな山域とは離れている独立した狭くて小さい山であり、ここへ熊がやってくるとは思えない。そもそもこの地域で熊の目撃情報は5年ほど前。それ以前は10年以上前になる。

・しかし、この数日の雨と台風で、人が山に入らない日が続いた。熊は夜行性でしかも一日に数十キロ移動することもある。ここに入り込んだとしてもあり得ない話ではない。

・野生動物だったとして、こちらが尾根を歩く足音は聞こえていたはずで、それなら逃げて行くだろう。その時に竹を踏んで行ったのかも。

・人にせよ野生動物にせよ竹の破壊音が鳴った前後に、なぜ足音や他の音もないのか。その場に留まっている?


短い時間の間に色んな考えが次々と浮かんでは消える。そして、階段の上まで戻ってきました。この階段を降りたら何かがいるのか。それとも。



恐る恐るゆっくりと、周辺に注意しながら下まで降りてみました。しかし結局は何もいませんでした。竹藪なので視界が効くのですが、見渡す限り人も動物も居ないし静まりかえっています。獣臭もありません。



辺りを警戒しながら林道の方へ歩いて行きます。とりあえず頭の中で結論付ける為に、おそらく農家の方が徒歩で上がってきたのだろうと思うことにしました。そして竹を除去するか踏んだ為に音が鳴って、そのあと偶然にも枯れ葉や枝などが無い場所を歩いて行ったのだろうという事にしておきました。林道に出て下山方向ではなく、もっと奥に進めば畑などがあるので、そちらに確認に行くこともできましたが、こういう時はさっさと下山するのが良い。というわけで麓まで下山しました。道を塞いでいた竹はまだそのままありました。農家の方が徒歩で山に入ってきたとすれば、まずはこの竹を除去すると思うんですが・・・。そうでなければ、ここへ車でやって来る人達は誰も入山できないことになりますからね。


ちなみに翌日の昼くらいに相方と散歩で同じコースを辿りましたが、その時にはもう倒れていた竹も除去されていつもと変わらない山に戻ってました。