毎日、ジテ通をしていると当然(?)のごとく、知らない人と千切り合いみたいになることもあるわけで、そんなエピソードを1つ。
 
最近、ロードで通勤している人も多く、自分もその一人。朝も帰りも必ず他のロードと遭遇する。そして当然のことながら、同じ方向に走る人もいるわけで、そんな時必ずといっていいほど(でもないか?)みんな同じ行動をとる。前を走る方は千切ろうとする。後ろを走る方は離されまいとする。ささやかな暗黙バトルが勃発する。
 
特に仕事帰りは解放感からか、それが顕著に現れるような気がする。今日もまたそんな千切り合いが行われ、自分がそうなった。
 
帰りのコースに大きな交差点から駅までわずか1.5キロの短い直線がある。車が多いものの車道の隅に自転車用のレーンも敷かれており、道幅もある。そして横には川が流れているので、なにか飛び出してくる心配もない。ママチャリはレーンではなく広い歩道を走る人が多いので、レーンの方は主にスポーツ車が多い。踏んでもがくには絶好の場所。半分は平坦、残りは2%ほどの緩い登り。駅の手前で少し勾配がきつくなる。
 
今日は、そんな交差店の手前で、他のローディに凄い勢いで抜かれた。
 
「速いなぁ・・・。」
 
特に反応もしなかったものの、その先の交差点の信号で引っかかったのでそのローディの後ろについた。
 
見ると、ペダルはスピードプレイ。しかも脹脛がすごい。
 
「この人、走るな・・・」
 
でかいバックパックを背負っている。この時間だし、自分と同じ残業あがりで帰るところなのだろう。
ライトの明かりで間違いなくこちらの存在にも気付いているはず。
 
「今さっき追い越したヤツだな」って。
 
そして信号が青に変わった瞬間、このローディ、思ったとおりの行動に出た。加速が速い!
 
「千切る気か!さっき追い越した手前、抜きかえされるわけにいかないもんな!」
 
こっちも今日は、いけるならピッタリついて行く気が満々。重量はあるけど、アルミフレームだから加速がいい。離されないように出だしからフルダンシングした。体重を乗せるだけのやんわりダンシングだとアルミの良さは堪能できない。ほんの一瞬の鋭い踏み込みを繰り返すように、メリハリのあるダンシングをすると加速の伸びが良くて、貧脚をカバーできる。
 
「やっぱり加速感はカーボンより楽しい」
 
お陰で離されずに付いていけた。スピードが乗ったら、ドラフティングに入って余裕でついていける。そしてアルミはスピードが落ちてもリカバリが早い。
 
信号で一旦止まって、一時休戦。ここから駅まで1キロ弱の緩い登り。青と同時に飛び出す。
 
「すぐ後ろにいるよ!」
 
と言わんばかりにライトで照らし、バチン!とクリートキャッチ。前のローディ、チラッと、かすかに後ろを気にして、そしてシッティングのまま体を左右に揺らして、ハイケイデンスで登っていく。速い。踏むのをやめたらすぐに離される。
 
「うわ~、回してるな~」
 
必死で逃げるから、こっちも必死で追いかける。登りでも2台ともスピードが落ちない。サイコンを見る余裕は無いけど。多分今までで一番速く登ったと思う。歩道を歩く人、ママチャリが結構な速さで後ろへ遠ざかってる。
 
そして駅手前で、勾配が増す。辛くなって、ここでシフトダウンでケイデンスを上げるのか、逆にシフトアップしてダンシングに切り替えるのか・・・。後者を選択して失敗した。心拍が急上昇して無酸素運動に突入してしまった。しかし、駅は目の前。もう坂は終って直線区間も終了。そして短いバトルは終了。
 
最後にちょっと手信号でも出すとか、礼を言ってから、別れたかったものの駅前で、もの凄い勢いで左折していった。ちなみにこんな小競り合いの後に笑顔で挨拶したことは無い。というか、仮に千切ったとしたら愛想よく挨拶しても、おちょくってるように見えなくもない。
 
先週はレベルが違いすぎるほど速い人に追い越されて、追いつくことすらできなかったけど、今日は同じくらいの速さでなかなか楽しかったな。
 
どちらかといえば千切られることの方が多いけども、始めて1ヶ月半になるローラーの効果は実感できた。徐々にトレの強度を上げていこう。