(前記事からつづき)

1991年公開の「天河伝説殺人事件」という映画の舞台となった天川村。
この映画でこの村は一躍有名になり、その時から、いつかは訪れたいと思っていた天川村に、たった今着いた。
 
 
R309から天川に入る時にまず目に入るのが、食堂「かどや」
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サイクリストが多く立ち寄るらしい。店内のトイレにはビンディングシューズを脱がずに済むという手作りのスリッパが置いてあったりと、なかなかサイクリストに優しい店である。ここでまともな食事を摂る予定をしていたが、開店は10時から。1時間も待っていられないので、写真だけ撮って先へ進むことにする。
 
この店の前の道を左折すれば引き続きR309、右折は奈良県道53号線で天川村の中心部になる。今日の目的はこの53号線を走ることなので、もちろん右折する。この県道53号線は、川沿いの道でかなり涼しい。しかもR309からR168に向かって走ると緩やかな下りになっており、景色を堪能しながら快適に下れる。
 
 
走り出してすぐ、途中にあった九尾ダム
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路面状態はかなり良い。キャンプ場がたくさんあって観光客も多い。時間があればゆっくり観光でもしたいところだが、先を急ぐので通過するだけ。
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小さな吊り橋がいくつもあった。
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ここに住みたくなるほど心地よい。ここまで来た苦労など忘れてしまう。
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この53号線は県道の割りによく整備されており、落石もあまりない。キャンプ場が無数にある道だから観光客も多いようで、国道並みに整備されているのだろう。とはいえ、細かい石は結構落ちており、あまりスピードは出せない。踏むと、タイヤが裂けるなどパンクに見舞われかねない。(記事の最後にこの県道53の走行動画を貼り付けました。長いです。暇ならご視聴ください) 

ろくに休憩を取っていないので、道路脇に止まって腹ごしらえ。
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ゆっくりと1時間くらい下ってくると、R168に出る。
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この道を北上すると、まもなく県道732が現れるはずで、そこから五條市へ風情のある景色を見ながら
ダウンヒルの予定。今日楽しみにしていた道の一つ。
R168に出てから少し登り。しばらく走って阪本というところで、732号線があった。これだ。
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が…
 
 
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     通行止め!5キロ先で土砂崩れだと。
 
オイオイ。今日のコースは全て走りきってちょうど200キロの予定なんだ。このままR168でも五條市に出られるが、距離が短くなってしまうじゃないか。迂回路の案内が書いてあるが、見た目で本来のルートの5~6倍くらいの距離で、こんなの迂回路でもなんでもない。ただの遠回りだ。
 
 
5キロ下って、土砂崩れの部分だけ自転車を担ごうかとも思ったが、結局諦めて、また登ってくるのがオチだからやめておこう。体力を消費するだけだ。こういうこともあるだろう。ならばR168を引き続き登るしかない。
 
しかし、ここからがキツかった。急に勾配がきつくなった。登坂車線が続き、登れども登れども緩やかにならない。しかも昼が近づき、気温が高くなってきている。それに加え、バックパックを背負ってるので排熱ができず異様に暑い。寝不足の影響も出てきている。眠いし、頭がスッキリしない。速度が10キロ以下になった。進まない。この山奥で自転車のチェーンとギヤが噛みあう音と自分の喘ぎ声だけが響いている。両足の膝も痛くなってきた。
 
 
どこまで続くんだ?止まって休憩するか?いや。途中で足つきすると、ライドが終わってからの達成感が半減してしまう。ゆっくりでも登りきらないと。距離はたいしたことがないのに、ペースが遅すぎるせいで一向に頂上につかない。

と、しばらくして「星のくに 2キロ」の看板が。大塔(おおとう)道の駅の表示も。なんだ?星のくに?そうか、思い出した。そういえば、どなたかのブログでR168の頂上に「星のくに」という施設があり、そこに道の駅「大塔(おおとう)」もあると。ということはこの辛い登りもあと2キロで終わり。休憩が取れて、そこからは下りだ。そうとわかれば、元気がでてきた。もうちょいだ。

で、どうにかこうにか着いた。「星のくに」どうやら天体観測の施設らしい。写真を撮る元気もなかった。ここを通り過ぎたらすぐ道の駅があった。
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ヘロヘロになりながら着いた。人目を気にせず、足を投げ出し、ジャージの上着を脱いで
汗を乾かす。背中が汗でグッショリ。今日一番の汗をかいた。
ここで、アイスクリームを食べ、ノンアルコールビールを飲み、水を補給。なんとか生き返った。しばし休憩して、出発する。峠は越えた。ここからはダウンヒルだ。登りがきつかった分下りも凄い。急カーブとトンネルが多かったが車も少なく、快適に下りきった。
 

そしてR24に出た。五條市に戻ってきた。
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この道沿いに北へ向かえば地元に戻れる。しかし、R24を走り出した途端、雲が晴れ太陽がギンギンに。
 
 
時刻は11時。最高気温は36度まで上昇する予報。山岳で登りと闘った後は、気温との闘いになってしまった。さっきまでの天川村での心地よさはどこへ行ったのか。これから灼熱の60キロライドとなる。信号待ちので止まった時が最悪。容赦なく直射日光が照りつける。またしてもバックパックで背中が暑い。山岳での疲労も出てきた。頭も少し痛い。軽い熱中症か?いや、たぶん寝不足によるものだ。しかもガチガチのアルミのエアロフレームが路面の凹凸を余すことなく拾ってくれる。振動で頭が余計にイタイ。なにしろ3時半に起きてるんだから、ここへ来てしわ寄せがやってきた。脚にも力が入らない。速度も20km/hくらいがやっと。
 
 
ここから奈良市内まで40キロもあるというのに、この速度では大幅に帰る時間が遅れる。水もぬるま湯のようで、飲んでも元気が出ない。とりあえず最初に見つけたコンビニに入ろう。幹線道路だからコンビニには事欠かない。ローソンを見つけピットイン。
 

水をゲットし、ガリガリ君を食べ、たまたま目についたエナジードリンク・モンスターを買った。
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こういう飲み物は好きでなく、普段は飲まない。今回初めて飲んだ。一口飲んだ瞬間、体の中が熱くなるような感覚が…   明らかに体の中に何かが取り込まれている。不思議だ。一気に全部飲み干した。すると1分もたたないうちに、急に楽になってきた。

「おっ、走れるゾ」

走り出すと回る回る。さっきまでのヘタレ具合はどこへやら。なんだコレ。軽いわ。頭痛もどこかへ消えた。
低下していた速度も35~38km/hまで上がった。出発時と変わらんじゃないか!なんならもう一度天川行けるんでない?(いや無理)とまで思える。この分なら時間も短縮できる。
 
この勢いであっという間に大和高田市まで帰ってきた。ところがここで、道に迷い時間をロス。無用に脚を使い、エナジードリンクも切れてきた。それでもルートに戻り25~30km/hは維持し、順調にR24を北上する。県道732を走れなかったことで、距離が200キロに満たないのではと心配したが、道に迷ったことが幸い(?)し、目標はクリアできそうだ。(実は往路でも迷っている)

そんなこんなで、どうにかこうにか京都まで帰ってきた。
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ケツが痛い。手も痛い。1分おきにハンドルの持つ場所を変えて紛らわせる。しかし今日はハンドルに色々と付け過ぎて持ちにくい。
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近くのコンビニで自己最高200キロの乾杯用(もちろん一人で)のビールを買い込みようやく帰宅。無事に今回の長旅は幕を閉じた。
 
前々回の記事に書いたように、走行距離はきっちり200キロ、所要時間11時間半。一番の失敗はやはり炎天下でバックパックを背負って、しかも寝不足で走行したこと。(普通、想像つくよね?)
 

もう二度と夏にバックパックは背負ってのロングはやらない。あと、装備をもっとコンパクトに工夫しなければ。重量も重すぎた。やっぱバイクも軽量じゃないと辛いな。なにはともあれ、それでも楽しかった。いいね。紀伊山脈。今度は十津川村に是非行ってみたい。ま、自走は無理かな(笑)