「医療立国論-崩壊する医療制度に歯止めをかける!」を著した帝京大学医学部名誉教
授の大村昭人さんは、「世間では医療が崩壊すると叫ばれているが、どうすればよいのか提案することが大事だ。医療崩壊ではなく、医療立国へ。」と訴えています。
現在の日本は後期高齢者医療制度で医療制度の根幹から揺れていますが、元は、旧厚生省事務次官であった吉村仁氏が、1983年に唱えた「医療費亡国論」に端を発する日本の医療費抑制政策が原因です。これに、大村昭人さんは真っ向から立ち向かい、日本の医療はアクセス、コスト、質の点で優れており、OECD加盟国と比較して病床数辺りの医師数や看護師数は圧倒的に少なく、特に米国と比較すると病床数あたりの医師の数は約5分の1、看護師数は約6分の1となるなど、日本の医療は医療従事者の献身的な努力で支えられてきたが「それも限界に来ている」と指摘している。医療費抑制を求める前に、一般会計の約3倍の225兆円ある特別会計の無駄を省くべきとも主張。その上で、「国は医療に投資し、医療業界の中での雇用を増加させ、医療産業を活性化させることで日本の経済力向上に貢献するべきだ。」と主張されています。
特に「EUの国々では、医療が経済活性化の要であることが認識されている」と訴えています。ヨーロピアン・コミッションの2005年8月のレポートによると、EU諸国では医療への投資が経済成長率の16~27%を占めています。EU15カ国に限ると、医療制度の経済効果はGDPの7%に相当し、金融の約5%を上回っています。「GDPの7%という数字を、日本に当てはめた場合、年間35兆円ほどGDPを押し上げることになる」と、EU諸国では医療・福祉は国の負債ではなく、経済発展の原動力として認識されていることを強調されています。この具体的な例としてスウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェーなど北欧の国々は租税、社会保険料の国民負担率が非常に高いにもかかわらず、医療福祉産業を育成する中で経済競争力では世界のトップ10の上位を維持していることをあげられています。国の手厚い社会福祉政策の中で女性、高齢者そして障害者でも働く機会に恵まれていて自立する中で社会に貢献もできています。
