妄想小説です。
お気に召さない方はご遠慮ください。


画像お借り致しました。



G.LOVE⑥


泣いて泣いて泣き疲れた頃に
気付いたら家の近くまで辿り着いていた。
私、どうやってここまで帰ってきたんだろ。
あんまり、記憶にない。

彼と終わったんだと改めて思う。
悲しみはあるけど、以前程ではなかった。

そう言えば、メグにも報告しなきゃ。
今度、沢山聞いてもらおう。
携帯全然見てないや。
メールしようとしたその時、
背後から声がした。

『アイ!』
『待てよ!まだ話が終わってない。』
『俺と離れられるのか?お前は俺じゃなきゃダメだろ。』

そう言って、彼が強く抱きしめてきた。

私は、不思議と、何の感情にもならなかった。
今まではこんな感じで仲直りしてたな。
なんて、懐かしくさえ思えた。

私は至って冷静だった。
そして、彼に、決定的な一言を発した。


「私ね、好きな人が出来たの。だから、お互いさまなんだよ。」
「さっきは、私が被害者みたいに言ってごめんね。もう大丈夫ってのはそう言う意味だから。」

そう言って、抱きしめられた腕をそっと解いた。

好きな人。ジヨン。
本当は自分の気持ちに気付き始めていた。
だけど、別れる理由にしたくなかった。
ただ、今の状況で、彼とキッパリ終わりにする為にそう言うしかなかった。

またしても、今までの私とはかけ離れた私を見て、彼は、もう何も言わなかった。
言えなかったのだろう。
最後は優しい顔の彼だった。
「今度こそ、本当にさようなら。」
手を振って別れた。


本当に本当に終わった。


ただ、ジヨンに気持ちを伝えるのか、
そこには迷いがあった。
彼とこうなって、ジヨンに会って、好きになりそうになった。
今会ったらもっと好きになってしまいそうだ。
この気持ちを押し殺さないと後戻り出来なくなってしまう。
今ならまだ、友達としていれる。
きっと‥。

それに、彼と別れたから、さぁ次へという感じも嫌だった。

ジヨンと会えるなら、それだけで、十分過ぎる幸せだ。



ジヨンからのメールに気付かないまま、
まさか、ジヨンに彼との一部始終を見られてるとも知らず、
そのまま眠ってしまった。



翌朝、目が重い。
あれだけ泣いたんだし当たり前か。
今日、仕事休みで良かった。

メグからメールが来てた。
心配してくれてたし、メグにも話さなきゃな。

と、未読メールに目が止まる。

ジヨンからだ!

気付かず無視してしまったようになってることに慌ててメールを開く。

えっ?今日⁉︎
こんな顔だし、どうしよう!
でも、会いたい!
話をするだけ。彼との報告をするだけ。
それ以上は口にしない。
自分に言い聞かせて、ジヨンに返事をした。

「昨日はメール返せなくてごめんね。今日は、私もお休みだよ。ジヨンが良ければ、会いたいな。」
会いたいって言っちゃった。


すぐにジヨンから返信が来た。
『ok‼︎じゃぁ、迎えに行くから、待ってて!』

急に緊張してきた。
メールは毎日してたものの、再会した日から会ってない。
ドキドキする。

想いを伝えられなくても、これ以上好きにならないようにしても、ジヨンの事を考えるだけで、胸がキュンとなる。

こんな気持ちで会ってしまったら完全に好きになってしまいそうだけど、自分が決めた事だから‥。
そう言い聞かせて、支度を急いだ。


ジヨンが来た。
やっぱり、裏切らない優しい笑顔。

『アイ!久しぶり~‼︎今日はスペシャルゲストもいるよ!』
横からひょこっと顔を出した。スンリだ。
『初めまして。BIGBANG分かりますか?V.Iです。』
「ジヨン。久しぶりだね!」
次にスンリに
「初めまして。アイです。もちろん知ってますよ!日本でも活躍されてますね。」
『スンリと呼んで下さい!アイさんと呼んで良いですか?ジヨンヒョンをお願いしますね!』
スンリは、始めて会ったとは思えない程、親近感を与えてくれて、話しやすかった。年下なのに、しっかりしてるなぁ。
てか、ジヨンをお願いしますって‥。
返事に困っていると、すぐにジヨンが
『お前、何言ってんの?さっアイ!今日は色々行きたいんだ!』
なんだかとても楽しそうなジヨンに思わず笑みがこぼれる。
「うん!楽しみ!」


こうして3人で、遊びに行った。
ランチして、ショッピングもして、
遊園地にも行った。
本当に楽しい時間だった。
昨日の事を考えなくて済む。
自然と笑顔になれる。
ジヨンとスンリは子供のように、はしゃいでる。
途中で、ベンチに座っていると、スンリが
『ジヨンヒョン、アイさん、ちょっと待ってて!』
満面の笑みで、そう言って、走って行った。
残されたジヨンと私は、少しの沈黙。

ジヨンと2人きり。
緊張で、顔が強張った。

私は、昨日の事を切り出した。
「ジヨン。昨日ね、私、彼と別れたんだ。」
「誘ってくれて、今日ジヨンに会えて良かった。本当にもう大丈夫。スンリも来てくれて。本当に楽しかった。ありがとうね。」
素直な気持ちを伝えた。
“好き”のフレーズには触れず、だけど私の思いを伝えられて、安堵感で一杯だった。
ジヨンは、優しく微笑むように、私を見つめた。
『うん。』
『俺も楽しかった。アイと色んなこと出来たし。日本サイコー!ちょっと変装しとけば、気付かれないし。』
『アイの笑顔も沢山見れた。アイは笑顔が似合うよ。』
ジヨンも、言葉を返してくれた。
それだけで、嬉しくて、笑顔を返した。
「あはは。日本で良かった~。」
「本当にジヨンには感謝してるよ。」
「彼のことで迷惑かけちゃったけど、一緒に楽しめて良かった。」
ジヨンと改めて話して、
ジヨンは、落ち込んでるであろう私を楽しませるために、スンリも呼んで、楽しくしてくれたのだろう。
ジヨンの優しさが心に染みた。
嬉しくて泣きだしてしまいそう。
私を笑顔にしてくれたのだから、泣くわけにはいかない。
必死に堪えた。

すると、先程走って行ったスンリが、
戻ってきた。
『お待たせ~‼︎ジャン‼︎』
スンリがクレープを3つ買ってきたのだ。
「わぁ。ありがとう!美味しそう!」
スンリが差し出してきた。
『はい。どうぞ。』
それを受け取る私とジヨン。
ジヨンの姿を見てつい出た言葉。
「ジヨンとクレープって。なんかイメージにないかも。」
ジヨンは、拗ねたような顔をしてた。
『なんだよ~。いいじゃん。』
3人で沢山笑って、楽しい時間を過ごした。

するとジヨンの携帯が鳴る。
『ちょっとごめん。』
ジヨンが、私とスンリから離れて、電話をし出した。
誰なんだろう。仕事かな?
つい気になってしまった。

するとスンリが
『アイさんは、昔からジヨンヒョンを知ってるのですよね?』
ジヨンに聞いたようだ。
「うん。大学の時から。最近、日本で偶然再会したの。」
『僕も、ヒョンとは、メンバーとして、長くいるけど、あんなに嬉しそうなヒョンは、初めて見ました!』
ジヨン喜んでくれてたんだ。
嬉しい。
変に期待をしてしまう。
ジヨンは友達として喜んでくれたのかな?
それとも‥心の中で思っただけで、怖くなった。
思わず顔が曇る。
『アイさん?僕、何かいけないこと言いましたか?』
スンリが、心配そうに私を見ていた。
「あっ。ううん。違うの。ジヨン、喜んでくれてたんだね。私も嬉しかったんだ。本当に久しぶりに、あの笑顔を見れた。」
そう、聞いたスンリは全て悟ったかのように、
『アイさんと、ヒョンはとてもお似合いです。僕は恋人同士だと思ってました。ヒョンは何も言わないですか?』
スンリの言葉で顔が火照る。
「スンリちょっと!恋人同士だなんて!違うよ。私の片思い。でも、ジヨンには言わないでね。今の関係が、私にとっては、大切だから。私の気持ちだけで、どうにか出来ることじゃないでしょ。」
『アイさん‥そんなことないですよ!だって‥』
スンリが何か言いかけたところで、
「それと、アイでいいよ!アイさんだと、お姉さんなの丸出し。あと敬語もいらない!ねっスンリ!」
スンリは言いかけたことをやめて、ニッコリ微笑んだ。
『アイ!今日は僕も楽しかった!また会おうね!』
「うん!また!あと、さっきの話は秘密だよ!」
2人で微笑みあっていると、
電話を終えたジヨンが目の前まで来ていた。
私とスンリを交互に見て、
『何話してたの?楽しそうに‥?』
怒ってる‥?

するとスンリが賺さず、
『ヒョン!ヤキモチですか⁉︎ダメだよ。アイとの秘密!』
スンリはわざとらしく、ジヨンに言った。

「ちょっとスンリ!」
私は慌ててスンリを止めたが、楽しそうにしてるスンリに思わず笑ってしまった。
ジヨンも、何か気になりつつも、可愛いスンリを見て、口調は強くも、笑顔でいた。
私は、そんな2人を見て、ずっと、こうして友達でいられたら、楽しく過ごせる。
そんな思いと同時に、ジヨンはどう思っているんだろうと、気になる気持ちも強くなって行った‥。
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⑦へ続く。