冬季オリンピック、
はじめは見なくてもいいや、
なんて思っていたけれど

いやいやもったいない。

アスリートの方達が
失敗しても
怯まずに攻め続ける姿勢が
ホントにホントに
凄まじい。






このままだと書きそびれそうです。







『愛は静けさの中に』で
アカデミー主演女優賞を受賞した
マーリー・マトリンが出ていると知って
観たくなった、

ラブストーリーだけど彼女が強くて
相手役いらないなって
昔、思ったなぁ。







『CODA あいのうた』





笑いあり、涙あり、音楽も美しい

いろんな人が楽しめそうな
バランス感覚にすぐれた映画でした。




息子にも観てほしいな。


あちこちで紹介記事が出ていて、今更ですが。



ストーリーはシンプル。


聴こえない家族のなかで

唯一の聴者
歌をこよなく愛すローズは

合唱をきっかけに
歌の才能を見いだされ
遠くの音大進学を薦められる。

幼い頃から
親の通院も職場のやりとりも
家族の耳代わりを務めてきたから

自分がいなくなると
家族を社会から孤立させそうで
離れがたい
 


でも歌いたい。

家族と夢の間で
ローズは将来について悩みます。









音符


ローズは、
ろう者の親をもつ聴者の子ども。
コーダとよばれます。

 CODA,Children of Deaf Adtlts


コーダの方達は
聞こえる文化と
ろう文化を生きています。



ろう者の親のもとで
音声言語より先に
手話やサインを覚えることが多いようで

劇中でもローズが
繊細な心の内を語るときに

音声ではもどかしく
手話で気持ちを伝えるシーンがあります。





『CODA』は、
直接的なタイトルそのままに

コーダのリアリティを
多くの観客に知ってもらい
共感してもらうことも
テーマとして
大切に制作されたのではないでしょうか。









マーリー・マトリンは
愛と依存が複雑に入り交じる母親役で出演。

父、兄もろう者の俳優がろう者を演じています。



今回アカデミー助演男優賞に
ノミネートされている

父親役のトロイ・コッツァーの手話演技が
ユーモアたっぷり、表現豊かで
目を奪われました。

漁師に誇りをもち、家族を大切にする
あたたかな役柄を魅力的に演じています。
授賞式でかれの手話スピーチを観たい!



追記



おめでとうございます!!



記事では、トロイ・コッツァーさんとマーリー・マトリンさんのスピーチが見られます!








監督は演技について
俳優達と直接やり取りしたいと
手話を学び

さらに
手話マスター(DASL ろう文化と歴史に精通し演劇経験が抱負)を手話監督として擁し制作されたそうです。
初めて知る専門的な役職でした。















もとの作品は
フランス映画の『エール!』




これ、以前観たはずなのですが
主人公の歌声以外、わすれてました。
まずいです、記憶力。


改めて観てみると
こちらの作品は


ろう者の家族が
地域に馴染んで暮らしています。

聴者ろう者にかかわらず友人もいて

耳が聴こえないのも個性だと
堂々としています。


主人公の通訳の態度が悪ければ
父親は別の通訳者を手配するし、


親友は
家族を思い進路に迷うときも
「両親は耳が不自由なだけでしょ、大丈夫よ」
と励まし仕事を手伝ってくれる。


主人公が子どものままでいられるから
観ていてほっとします。

歌う姿も素直で屈託なく幸せそうで
歌声が心地よく響きます。

爽やかな作品でした。







二作品、
あらすじは同じなのに、 
細部の演出の違いが大きく印象を変えてます

『ガラスの仮面』で
マヤが一つの脚本から
幾通りもの作品世界を演じているみたい


あるいは
パラレルワールドみたいに
違う世界の話のようです。



どちらもお薦めです。

これから鑑賞される方には
パンフレットもよいです。
ろう者で写真家、アーティストの
齋藤陽道さんの感想にはっとさせられます。





フランス版で父親が市長に立候補するのも

アメリカ版で兄が組合を組織しようとするのも

本筋には関わらないけれど
声なきものとされた人々が
声をあげるエピソードとして
秀逸です。




映画って面白いなぁ。
見比べてみて、しみじみ思いました。
エール!のご紹介ありがとうございます☆










『CODA』の前にもうひとつ観ていました。

『ドライブ・マイ・カー』



すごいですね、監督賞、作品賞はじめ4部門ノミネート!




岡田将生の役、不気味でした。




劇中劇の
多言語劇がすごく面白かったです。

異なる言語を交わしても
互いに意味はわからないはずだけど

現実世界は同じ地平で同じときに
それぞれの地で暮している

それを一つの舞台の上に再現しているようでした。


それぞれの言語が行き交う舞台がとてもいい。

長いときを経て
創り出してきたそれぞれの言語がもつ
音やリズムのもつ美しさに改めて気づかされました。

韓国手話も多言語の一つとして

音声言語以上に
感情を伝える表現として

重要な配役で登場しました。











それから、同時期に読んでいた本。


不思議とこの三作品が
私の中で共鳴しています。















『冬』アリ・スミス




水沢そらさんの装幀がとても綺麗。
ご紹介ありがとうございます!




イギリスのEU離脱が決まった
国民投票直後に書かれた
4部作(秋・冬・春・夏)の第2作。


初めて読んだときは


過去、現在、近未来を行き来する
断片的なエピソードの連なりに
大筋をつかむのが精一杯だったけれど


じっくり読み直すと
登場人物それぞれが
現代社会を生きる姿を風刺しているよう。


ディケンズ『クリスマス・キャロル』の
強欲なスクルージの過去を辿るように

市井の人々にどんな変遷があって
今の生き方になったのか
その先の希望を
いかにみつけていけばいいのか


作者アリ・スミスの謎かけを
探し当てたくなりました。







息子アートに
過酷な歴史も自分の負い目も見せたくなくて
真実を隠し、利益を求めたソフィア

社会正義を求め
家族を巻き込んだ姉アイリス

ネット上で承認されても
親しい者への想像と共感が乏しい
ソフィアの息子アート


故郷に住むことができずに
外国を転々とし
世界市民と思っていたら
どこの市民でもないと拒まれた
クロアチア人のラックス




アートが恋人との喧嘩を隠すために
恋人役として雇われたラックスは

クリスマスに家族が集まっても
言葉がすれ違う三人の姿を見て

シェイクスピアの『シンベリン』の話をします。

まるで誰もが他人のふり、
自分でないもののふりをしている喜劇だと。




芝居の中の人たちは
同じ世界に暮らしているのに
互いから切り離されて
生きているみたいだってこと。


でも、みんなが自分から一歩踏み出せば
すぐ目の前、
すぐ耳元で起きていることを見たり、
聞いたりすれば


みんなで同じ舞台、
同じ世界に立っていることがわかるはず。

全員で同じ物語に参加してるんだ
っていうことが。





ラックスは
母とは共通の話題がないと
拒まれ傷つけられることを
恐れるアートに語りかけます。


共通の話題はいくらでもある。
あの人はあなたの歴史。
それもまた肉と人間の違いよ。

動物は進化を知っている。
私たちには動物にない能力がある。

自分がどこから来たか知っている。

それを忘れるのは

自分がどうやってできたか
自分がどこへ向かうのか

を忘れるのは、

自分の頭をどこかに置き忘れるようなもの。





おじけづくアートをやさしく励まします。

やるだけやってみて。

ていうか、
私たちが抱えている歴史のことを考えれば、
私たちはやらないと。









音符






同時期に読んだ三作品をつなぐには
強引かもしれないけれど



政治の世界だけでなく
親しい者のかかわりにおいてすら

あたりまえのように交わされる言葉が
虚飾にまみれ、空虚になり、
意味が意味として成さなくなっている

その危機感を、
自分達にとって 
手垢のついていない世界



二つの文化の間で生きるコーダ
豊かな表現をもつ手話
別の国で生きのびた人が語る人間味に


活路を求めているように思えました。



























アカデミー賞つながりで・・・

ドキュメンタリー賞にノミネートされているこちら、音楽を聴いているだけなのに涙が止まりませんでした。
こちらもお薦めです。



『サマーオブソウル』






WOWOWオンデマンドとDisney+で観られます。



































サクラ、咲きますように!