今日は世界ダウン症の日だそうです。


スティングの歌にのせ、雇用の環がつくる新しい世界を描いています。
歌も、生き生きと働く誇りに満ちた姿も素敵です。









あしあとあしあとあしあとあしあと




先日、観たかった番組の一つ
『逆転人生 貧困の連鎖を断て!西成高校の挑戦』(1月25日放送)をようやく、
NHKオンデマンドで観ました。
課金しないと観られないのが、お勧めするのに非常に残念なのですが





西成は戦前戦後、そしてバブル景気と崩壊のあおりを受けた人々が住む地域
今は様々なルーツの人々があつまり暮らす街

そんなふうにざっくりと理解しています。

番組は、その地域にある府立高校の、
生徒の生活実態を見極めた教育実践と
熱意ある教師たちのサポートで、

多くの生徒が
人生を上向きに逆転しつつある話を
紹介しています。


貧困や境遇の悲惨さが
子どもの人生に及ぼす悲劇や

人に支えられること
学び働けることが
人の生き方をどれだけ変えるかが
説得力をもった実話とともに
紹介されていました。

「逆転人生」の言葉通り
閉塞感のある現実の説明に終わらず
希望のある道をみせる番組構成は

子どもにこそ観てほしいと思わせるもので、
一人で観たあとに
前のめりになって息子に勧めました。

「面白くなかったら途中で止めるよ」

と面倒くさがっていたのも観る前までで、
テンポよくすすめられる内容に引き込まれていました。
色々と思うところがあったようでした。




西成高校で「反貧困学習」を始めたいきさつは
まずは学校に通ってもらおうと
生活実態を知るために家庭訪問すると
ネグレクトなどの虐待を受け
経済的に困窮している家庭が多いことに
直面します。

ところが生徒達はその生活を当たり前のものと受け入れ、変える必要性を感じていませんでした。

教師たちは、格差の拡大や貧困の再生産を水際で食い止めたいと、学習内容を変えます。
それが反貧困学習です。


自分達が、
貧困だということに向き合い
貧困から抜け出すための
たたかい方を学んでもらおう



貧困には
経済的なものだけでなく
家族や友達とつながりの欠如という
人間関係の貧困もあると伝えます。


また、卒業生が体験した不当解雇など
実際に身近であった
理不尽な出来事を
ケーススタディとして取り上げ、
問題を回避するためには
どんな手立てがあるのか
法的手続きや
支援制度を具体的に教えたり
生徒みずからが調べます。


校長によると、
福祉支援制度があっても
それらは申請主義となっていて、
知らないために
支援を受けられないことが多く、
生徒が置かれる貧困の
一番の要因となっているようです。




反貧困学習を行なうようになって、
やる気がないと思われていた生徒達が

自分達の生活に肉薄した授業内容に
耳を傾け真剣に授業に参加するようになります。

遅刻したり欠席したり、
学ぶ気がないようにみえた生徒たちも、

自分達が置かれた境遇のなかで
生き抜くすべを学びたい気持ちを
切実にもっていたことがわかります。

なにを学ぶのか、ということが
これほどまでに学習意欲に直結するものかと
驚かされました。





生徒の再現ドラマと
インタビューがありますが、
淡々と語られる当時の境遇が衝撃的で
語る際の表情の変化が
何よりも説得力がありました。


育児放棄された子どもの頃に
街の室外機で暖をとりながら
ベンチで野宿した話。

ショッピングモールの屋外にある
吹きっさらしの赤いベンチが
幼い子どもの寝床だったとは。
夜空をどんな気持ちで眺めていたのでしょうか。


学校に通うようになると
留守中に家族が生徒一人を残して
引っ越して音信不通になる話。

学校に通い続けられるように
先生が保証人になって
生活保護申請を受理してもらい
一人暮らしをはじめ、
先生が毎朝起こしに来てくれたと
話すときのやわらかな表情

教師の熱意にうたれて
就職活動で中途半端なことはしたくないと
腹をくくる姿

 



『むこう岸』の登場人物を思い起こすエピソードもありました。


現代の貧困問題は、
見た目には分かりにくいと
ニュースで頻繁に取り上げられていますが、
いわゆる普通の、
実はとても恵まれた子どもにとっては
もっと見えない問題のように思います。


でも、それはたまたま
巡り合わせが異なっただけで、
いつ同じ試練におかれるか
わからないことだとも思います。



自分の恵まれた環境での学びから得たものが、ひいては誰か他の人の豊かさへと分かち合う力になってほしいと、家族でも話しました。



反貧困学習を始めて数年後、
教師達は地域の企業を300社以上まわり、
採用を掘り起こします。


先輩たちが夢のある仕事につき、
安定のある収入を得る、
今の生活から脱して
未来につながっていける確かさが、
進学率云々より、
一番学校を変えることになると
教師の一人は語ります。


いまでは何年も
就職希望者の内定率100%を
ほこっているそうです。


番組に登場する元生徒は、
働きながら、
今度は自分以外の誰かを癒せる力を
身につけようと
新たな学びを始めていました。



ここにも雇用の環から始まる新しい世界がありました。






学ぼうとする生徒を取りこぼさない強い意志と、学ぼうとする生徒を支える優しさを感じるお話でした。
You Tubeで学校紹介の動画がいくつか挙げられていますが、生徒達が楽しそうです。

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあと





最近、オーディオブックで聴きました。
こちらも実話です。

現在ハーバード大学院の研究者である
タラ・ウエストーバーさんの自叙伝です。

キリスト教原理主義の両親のもと
学校に行けず、貧困と虐待の日々から
歌をきっかけに、外の世界へと少しずつ出ていきます。



 
今まで愛する家族から助けてこられなかったために、他者の救いの手を握り返すまでに、もどかしいほどに長い躊躇いがあります。

確固たる新たな地位を築いてからも、長らく心の傷は癒されずにいます。

それでも書き、自らと対峙しながら、歩み続ける姿は、尊厳を守ろうとしているように思えました。

虐待など凄惨な場面は辛いけれど、じっくりと書籍で読み直したい一冊です。





今も歌い続ける、タラさんの歌声はとても美しいです。




訳者、村井理子さんのインタビュー記事。


トランプ政権を今もなお支持する人々の思想を知る手がかりになるという指摘にはっとさせられました。