昨年、バードウォッチャーが世界各地で増え、渡り鳥の観測データがよく集まったとの記事をどこかで見ました。
鳥のさえずりに心なぐさめられ
力をわけてもらった人が
世界各地にいるのだと
どこかで気持ちがつながっているような
そんな気になりました。
昨年の緊急事態宣言下の街は
人の気配がない静けさで
普段なら生活音にまじり
聴き逃していた
鳥のさえずりが
静かな空にひびいていました。
鳥たちが
ここではちゃんと
日常が続いているのだよと
教えてくれているようでした。
それ以来、空に羽ばたく姿や
屋根で羽を休める様子を
探すようになっています。
空を気にして見ていると、
こんな街中でも意外に出会えるものです。
アオサギ
池の魚を目当てにやってくる
ウグイス
夜明けからの一声、朝練があると気がつく
シジュウカラ
メジロ
キジバト
鳴き声でその木々にいるとわかる
セキレイ
スズメ
ヒヨドリ
庭先で見つけると飛び立つ
賑やかなところでは
ガビチョウ
夕暮れには
ボソとブトのカラスたち
たまに高い空にトビ
さて今年のツバメに出会えたのは4月はじめ。
2羽が互いを追うようにしてくるりと大きな円を描くようにして飛んでいました。
警戒心がつよくて
スマホをむけると視界からすっと離れていく
そのくせ無防備に
地上近くをじゃれ合うように飛び交う
今年は本を読んで待っていました。
鳥のことはまるで知らないから
勉強中の備忘録として残しておきます。
これまで1種とされたツバメが二種に分化しつつある最新研究の紹介。昔日本では食用に塩漬けにしていた、などの風俗やツバメを描いた世界各地の文学、伝承の紹介など、ツバメ好きにはたまらない一冊です。
毎年同じ場所に巣をつくるから長命かと思いきや、平均寿命が1,6年と短命であること、羽繕いは飛翔能力、生命の維持にかかわることなど、のびやかに飛ぶツバメの過酷な現実も知りました。
『電柱鳥類学』
昨年秋に発売され、タイトルに心惹かれ手にした本。
電柱鳥類学とは、
電柱(電線を含む)を利用する
鳥を研究することが
学問として成り立つのではないか
という、都市の鳥を研究してきた
三上修さんによる造語です。
ユニーク!
目次は
1 電柱と電線の基礎知識
2 鳥、電線に止まる
3 感電しない鳥たち
4 鳥、電柱に巣を作る
5 電力会社、鳥と闘う
エピローグ 電柱鳥類学の将来
一章に面くらいましたが、
確かに町中の鳥は枝に止まるように
電線に止まっていて、
読めば読むほど、
鳥の生活圏としての電線、電柱の
存在感が増しました。
以前は無電柱化賛成だったけれど、
影響されて
電線のある景色も
なかなか乙なものではないの、
と思ったり。
筆者紹介欄にある
電柱を見ていると知らず時間が過ぎていくので、電柱は時間どろぼうだと思っている
と語る三上修さんて何者!?
と鳥以上に研究者に興味を惹かれました。
『身近な鳥の生活図鑑』
三上修さんの書籍を調べ、図書館で借りました。
山や川など自然豊かな環境で観察するバードウォッチャーにとって、すぐに見つけられる町の鳥はあまり興味が湧かないものだけど・・・のくだりに、そりゃあそうだとうなづく。
今のような不自由さがなければ、街の鳥をとりたてて気にしなかったかもしれない。
三上さんは気軽にみつけられること、
身近な鳥に関心をもつことで
自分たちの生活に気づくことができる面白さがあると教えてくれます。
本は、スズメ、ハト、カラス、ツバメ、セキレイ、コゲラなどの都市で見られる鳥の概論です。
私たちの身の回りには思ったよりもたくさんの鳥がいて、「ちょっと散歩すれば5〜10種類」
季節によって異なるから一年で20〜30種類少し大きめの公園や神社に行けば合計40種類、川や池の水辺へ行けば50種類くらいまで見られるそうです。
すご〜い!
ほんとにそんな種類を見つけられるのかしら。
普段目に止めていない発見が、
生活圏に隠れているとわかると、
宝探しをしているような気持ちになれました。
『カラスの教科書』
図書館で見つけた本。
分厚くて、私はそこまでカラスに興味ないなぁ、とページをめくったら
カラス的グルメ 私、マヨラーです
太陽と狼とカラス 神の使いか、魔女の眷属か
など思わず内容を確かめたくなるような章が並んでいます。
エッセイストのような軽妙の語り口で
専門的な内容も楽しく読ませてくれます。
「カラス成分が高め」なこの本は、読後カラスへの親しみがわいてくる不思議な力をもっています。
あとから知ったのですが、著者の松原始さん、多数のカラス本を出され、今は東京大学総合研究博物館勤務なのだそう。楽しそうな人生だなぁ。
『スズメの謎』
再び三上修さんの本。
これは小学生にも息子にも読んでほしい本。
写真もイラストもわかりやすく、読みやすい一冊。
誰も知らないことをわかるようになるには、
調べるしかなく、
調べるにも二通りあって、
ひとつは「すでにある答えを探す作業」
もうひとつは「まだ誰も知らない答えを発見する作業」。
私は鳥の研究者です。この本では、研究者である私が、科学の立場から、スズメという鳥について、誰も知らない答えを見つける方法を紹介していきたいと思います。(p3まえがきより)
この本は、スズメが減少していることを日本にいるスズメの総数を推計するところから明らかにした調査研究の報告なのですが、
同時に、
興味のあるもの、おもしろいと思うものをおそれず観察し、調べることを薦め応援してくれている未来の研究者へのガイドブックでもありました。
この本では、スズメの話を通して、科学的なものの見方を随所にちりばめたつもりです。世界をそんなふうに見ることを試してみてください。そして、自分で解き明かしていってみてください。その気になってやれば、誰も知らなかったことを解明する手がかりはたくさんあるはずです。そういった視点は、どんな道に進んでもきっとみなさんの役に立つはずです。
(p138-139 研究の世界より)
三上さんは研究者であると同時に、教育者でもあるのだと感じる一冊でした。
ある夕方、街の通りで空に向かってカメラを構えている女性がいました。
その方向を見上げると、うつくしい鳴き声でさえずる鳥がビルのアンテナに一羽止まっていました。
「半年前から鳴き声が聴こえて、インターネットでずっと調べていたの。こんなに止まって囀っているのは初めて!
スマホではうまく撮れないから、急いでカメラを取りに戻ったの」
彼女のカメラには青とオレンジの鳥が写っていました。
「これはやっぱりイソヒヨドリよ!」
しばらくイソヒヨドリと、その界隈の鳥の話に花が咲きました。
別の日
別の街で友人と歩いているとあのさえずりが降ってきました。
見上げると同じ鳥が。
光のおかげで、私のスマホでも鮮やかな色が見えました。
私が先日のエピソードを話すと、なんと友人もここ一年、近所の庭木の花や実をついばむ小鳥の観察をしていたそうでした。
鳥が苦手なことを公言する友人同僚は何人もいますが、
ひそかに鳥に和み、バードウォッチングを楽しんでいる人たちも確かに生息しているようです。
最近とみにいとおしく思える電線の夕暮れ。
一筋縄ではいかない状況が続いていますが、
つつましい毎日のささやかな喜びを大切に
一日一日を笑って過ごしたいものです。












