概要
現在の「暦(こよみ)」という言葉には「紀年法(きねんほう)」と「暦法(れきほう)」という意味が含まれている。例えば西暦とは、紀年法ならばキリスト紀元、暦法ならばグレゴリオ暦、として解釈が可能である。
ここでは暦法について述べる。そのため、いつを基準にするかは述べない。
暦法は、紀年法のように直線的、つまり、積み重なっていくのではなく、ある周期を繰り返す、いわば円のようなものである。これらのことは、西暦でいえばそれぞれ、紀年法としてのキリスト紀元ならば今年が2018年であること、暦法としてのグレゴリオ暦ならば400年周期(正確には14万6097日周期)であること、となる。
ここで述べる内容は、暦法の作り方であるが、それは全て筆者の独学によるものであることをご了承頂きたい。
用語
- 太陽年(たいようねん)
- 地球の公転周期に関係する。
- 平均太陽年は「約365.242189日」である。
- 朔望月(さくぼうげつ)
- 月の公転周期に関係する。
- 平均朔望月は「約29.530589日」である。
- 関連して、大の月(30日)と小の月(29日)が存在する。
- 暦年(れきねん)・暦月(れきげつ)・暦日(れきじつ)
- その暦法における1ヶ年・1ヶ月・1日(の長さ)のことである。
- 本記事での「1日」は1暦日を意味するものとする。
- 閏(うるう)
- 実際の太陽年や朔望月の長さに合わせる、調整のために用いられるものである。
- 「閏日(うるうび)」「閏週(うるうしゅう)」「閏月(うるうづき)」がある。
- 閏年(うるうどし)…閏を含む年のことである。
- 平年(へいねん)…閏を含まない年のことである。
- 週(しゅう)…7日から成る、人工的な単位である。
暦法の種類
太陽暦の作り方 ~閏日編~
太陽暦に分類される暦法において、閏日を用いる方法は世界で最も一般的である。
- その時点における平均太陽年を知る。
- 「総日数 ÷ 総年数」は1暦年となるが、それが平均太陽年に近づくように、総日数と総年数の組合せを選択する。
- 総日数とは、その暦法における1周期あたりの合計暦日数である。
- 総年数とは、その暦法における1周期あたりの合計暦年数である。
- 平年を365日、閏年を366日とする。平年数をC、閏年数をLとした時、以下の二元連立方程式を解く。
- 平年と閏年の具体的な配置を決める。
- 各月の日数を決める。なお、1暦年は12暦月とするのが普通である。
- 1閏年内で閏日を挿入するタイミングを決める。
- 完成。
太陽暦の作り方 ~閏週編~
太陽暦に分類される暦法において、閏週を用いる方法は一般的ではないものの、暦法としては存在する。
その1 平年を364日とする方法
これは、364日が正確に52週であることを根拠とするものである。
- その時点における平均太陽年を知る。
- 「総日数 ÷ 総年数」は1暦年となるが、それが平均太陽年に近づくように、総日数と総年数の組合せを選択する。
- 総日数とは、その暦法における1周期あたりの合計暦日数である。
- 総年数とは、その暦法における1周期あたりの合計暦年数である。
- 平年を364日、閏年を371日とする。平年数をC、閏年数をLとした時、以下の二元連立方程式を解く。
- 平年と閏年の具体的な配置を決める。
- 各月の日数を決める。なお、1暦年は12暦月とするのが普通である。
- 1閏年内で閏週を挿入するタイミングを決める。
- 完成。
その2 平年を365日とする方法
これは、平均太陽年の小数点以下、約0.2422日の29倍が7.0238日となり、「7日間の閏日=1閏週」と考えることができることを根拠とするものである。ここではそれをさらに一般化してみる。
- その時点における平均太陽年を知る。
- その平均太陽年から365日を減じたものをd日、任意の自然数をNとする。さらに、dにNを掛け合わせ、小数第一位を四捨五入した数を x とする。このとき、以下が成り立つように Nを選択する。
- x ÷ 7 = y あまり 0
- 上記を満たしたNをその暦法における合計暦年数、yを閏年数とする。
- 閏年の日数は平年の365日に1閏週(7日)を加えた372日である。
- 平年と閏年の具体的な配置を決める。
- 各月の日数を決める。なお、1暦年は12暦月とするのが普通である。
- 1閏年内で閏週を挿入するタイミングを決める。
- 完成。
太陰暦の作り方
太陰太陽暦との混同を避けるために「純粋太陰暦」とも呼ばれる。太陽暦とは異なり、月の公転周期のみを考慮するため、閏週や閏月は用いられず、専ら閏日が用いられる。
- その時点における平均朔望月を知る。
- 「総日数 ÷ 総月数」は1暦月となるが、それが平均朔望月に近づくように、総日数と総月数の組合せを選択する。ただし、総月数は12で割り切れることが望ましい。
- 総日数とは、その暦法における1周期あたりの合計暦日数である。
- 総月数とは、その暦法における1周期あたりの合計暦月数である。
- 大の月と小の月の数をそれぞれ算出するために、大の月をF、小の月をHとして、以下の二元連立方程式を解く。
- 閏年の数を以下のようにして求めつつ、平年と閏年の具体的な配置を決める。
- 総日数 mod 354 ≡ 閏年数(総日数を354で割った余りを閏年数とする)
- 大の月と小の月をどのように配置するのか決める。
- 平年では大の月と小の月が6暦月ずつあるため、それらは通常、繰り返される。
- 閏年では7暦月の大の月と5暦月の小の月がある。
- 1暦年は12暦月とするのが普通である。
- 1閏年内で閏日を挿入するタイミングを決める。
- 完成。
太陰太陽暦の作り方
これは、太陰暦と太陽暦を組み合わせたような暦法の一種であり、月の満ち欠けを重視しつつ、季節も意識する。月の公転周期と地球の公転周期の両方を考慮するため、閏日や閏週は用いられず、専ら閏月が用いられる。
- その時点における平均太陽年と平均朔望月を知る。
- 総日数、総年数、総月数を以下を満たすように設定する。なお、総日数とはその暦法における1周期あたりの合計暦日数、総年数とはその暦法における1周期あたりの合計暦年数、総月数とはその暦法における1周期あたりの合計暦月数である。
- 「総日数 ÷ 総年数」は1暦年となるが、それが平均太陽年に近づくように、総日数と総年数の組合せを選択する。
- 「総日数 ÷ 総月数」は1暦月となるが、それが平均朔望月に近づくように、総月数を選択する。総日数は1暦年のものをそのまま使う。
- 参考:
- 8年法: 2922日 =8暦年 =99暦月
- 1暦年 = 2922 ÷ 8 = 365.25 日
- 1暦月 = 2922 ÷ 99 = 29.515152 日
- メトン周期: 6940日 =19暦年 =235暦月
- 1暦年 = 6940 ÷ 19 = 365.26316 日
- 1暦月 = 6940 ÷ 235 = 29.531915 日
- 8年法: 2922日 =8暦年 =99暦月
- 閏月数を以下のようにして計算する。※平年は12暦月から成るものとしている。
- 総月数から、総年数に12をかけた数分、減じる。
- 大の月と小の月の数をそれぞれ算出するために、大の月をF、小の月をHとして、以下の二元連立方程式を解く。
- 平年と閏年にはそれぞれ、次のような日数の組合せがあり得る。
- 平年
- 354日 355日
- 閏年
- 383日 384日 (閏月が小の月)
- 384日 385日 (閏月が大の月)
- 平年
- 「12暦月分の日数が354日(大の月と小の月がそれぞれ6暦月ずつ)である年」と「12暦月分の日数が355日(大の月が7暦月と小の月が5暦月)である年」の具体的な配置を決める。
- (上述のように閏月を配置するならば)Bは閏月数よりも多いはずであるから、「12暦月分の日数が354日(大の月と小の月がそれぞれ6暦月ずつ)である年」の中でどのように閏月を配分するのかを決める。
- 完成。
以上
※以下はリンクとなっています
※2018年6月20日16時36分頃に誤っていた内容に手を加えました。
- 太陰暦の作り方
- 太陰太陽暦の作り方