結婚式が終わって少しした頃。
朝から雨模様の水曜日。
椎名さんの代わりに
朝バイトに入っていたあたしは、
休憩中にハッシュポテトを食べていた。
隣の席では、
上野さんが雑誌を見ていたが、
ふとあたしのほうを振り向き。
『そうそう、結婚式の写真、おまえのところにもう届いた?』
と、質問を投げかける。
『はい。椎名さんから、
あ、いや、浅野さんご夫妻連名で、昨日来てましたよ。』
『俺も昨日来たよ。あいつら、似合ってたな。』
『そうですね。幸せになってくれるといいですね。』
あたしの何気ない返しに、
上野さんの目がキラリと光る。
『おう。・・・・で、おまえらは?』
『え?』
『おまえらんときは、俺が仲人してやるよ。
タ ダ で な 。』
上野さんが立ち上がって、
あたしの肩をポンと叩いたので、
ハッシュポテトを詰まらせそうになった。
『しっかりやれよ、由香。』
『上野さんに言われなくたって頑張りますよ!
てか、その前に上野さんの結婚のほうが先でしょ?
仲人って、一人じゃ出来ないんですよ?』
『あー、そうか?・・・俺は、ほら。独身貴族だから。』
上野さんはそう言って、
いつものようにカカカと笑って、事務所を出て行く。
(結婚・・・ねぇ)
しみじみ考え出すと、やっぱり照れる。
でも、いつか、そうなるといいな。
あたしのマック恋愛のゴールが、
尾崎さんとの結婚だったら・・・。
最高だな・・・。
窓の外を見ると、
空はいつしか雨が上がって、
太陽が顔を出していた。
(おしまい)