『椎名さん、すっごく綺麗!』
『ほんと、お人形さんみたいだよ!』
あたし達の会話を聞きつけた浅野さんが、
グレーのタキシードに身を包んで
こちらへと寄ってきた。
『2人とも、ありがとうな』
『いいえ。このドレス、本当にかわいい!
あたしも着たい!』
理恵の発言にあたしも大きく頷く。
あたし達のはしゃぎに、
浅野さんが苦笑した。
『肩が出てるから
寒いんじゃないかって言ったんだけど。
どうしてもこのドレスが着たいって。』
諭しながらも
優しく椎名さんを見つめる浅野さんは、
今日ばかりは、
普段より少しだけイケメンぽく見えた。
(なんか、いいな・・・。結婚式って・・・。)
式は滞りなく進み、誓いのキスの時は
あたしも理恵も、
自然とキャーっと声が出てしまった。
だってそれくらい、ステキだったんだもの。