どうあるべきだろうか?


この小さな命がこれから生きていく・・・


その為に


あたし達は、どうあるべきだろうか?



親として。




☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆




11月20日、日曜日のことです。


その日は、夫(=タカ)もあたしも、朝から少しばかり不機嫌でした。


何故なら、その前日に日本一に王手をかけていたホークスが負けたから。


※この時はプロ野球の日本シリーズが行われている最中でした。

パリーグ優勝、そしてクライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズへ進出した我等が福岡ソフトバンクホークス。

セリーグの覇者、中日ドラゴンズとの日本シリーズとなりました。

地元、福岡Yahoo!Japanドームで行われた1、2戦を負けてしまい、一時はどうなることかと思われていたのですが、ナゴヤドームで怒涛の3連勝を遂げ、日本一に王手をかけて地元へ戻ってきたものの・・・また6戦目を落とし、3勝3敗・・・逆王手をかけられていたのです。


「だけん!杉内に投げさせんばやったもん!」

(だから!(先発ピッチャーは)杉内(投手)に投げさせるべきだったんだ!)


ムスッとした表情でそう言う夫・・・朝食を食べている最中も、前日の野球の負けが悔しくて仕方ない様子です。


苛々を吹っ切るために、早朝にランニングをし、それでかいた汗をシャワーで流し・・・と、さっぱりしたはずなのに、朝食でまた不満を零していました。


「まぁ・・・終わった事言うてもどうにもならんやん?まだ今日の一戦もあるし、気持ちば切り替えんと。」


ねー!と息子、ユキの目を見つめながらそう言うと、ユキはふわりと笑顔を見せました。


ユキも朝食中・・・この時は特製ポテトサラダです。


父親に似たのか、ユキはジャガイモとサツマイモで作った離乳食が大好き。


早く次の一口をちょうだいよ!と言わんばかりに手足を動かしています。


自分で手づかみで食べたそうにしていますが、さすがにポテトサラダは・・・ね。(苦笑)


「あー・・・しかし・・・7戦目まで縺れる(もつれる)とは思わんかったなぁ・・・」


と呟く夫。


ホークスがペナントレースで二位以下に大きく差をつけて優勝し、クライマックスシリーズも順調に勝ち抜いたものですから、夫は日本シリーズに入る前に


「日本シリーズも4連勝で日本一・・・ダ!」


などと調子のいいことを言っていました。


※ちなみに、2011年の福岡ソフトバンクホークスのスローガンが「ダ」(やるんダ!勝つんダ!超えるんダ!などの「ダ」という意味)ですから、夫もこのような言い方をしているのです。


ですが実際やってみると最終戦まで縺れて、夫としてはじれったく感じていたようです。


あたしは夫が「4連勝だ!」と言っていた時から


「そんなわけないやろ?相手はとんでもないゲーム差やったとば逆転してリーグ優勝したドラゴンズよ?簡単に勝てるわけないやろ?」


と言っていました・・・だって、ドラゴンズのシーズン後半の強さはすごかったですからね。


ですから7戦までいったことには不思議さを感じていませんでした・・・というか1、2戦が終わった段階では逆に1勝も出来ずに負けるかもとさえ思っていたくらいですから。


でも・・・さすがに王手をかけて地元に戻ってきたあの第6戦・・・あの負け方はね・・・正直悔しかったです。


・・・まぁそんなわけで・・・この日の朝は夫もあたしもちょっぴり不機嫌でした。


(´ヘ`;) というか、この日の朝は福岡県民みんな不機嫌だったかも・・・(苦笑)



この日は朝からこれといった予定もなく、のんびりと過ごす休日となっていました。


朝食後少しして、夫は息子を連れて近くの公園へ散歩に出かけました。


ユキからあたしを離し、あたしを1人にする時間を作ってくれたのです。


やりたいことは沢山あります。


それらを1つ1つ片付けていくうちに時間はあっという間に過ぎていきます。


仕事をしてから、その前までの育児休暇時代とは別格に忙しくなった平日。


「これは週末に」と後回しにしたら、休日もするべきことが山積みになります。


昼食にパスタ(豚肉と高菜を使った醤油風味の和風パスタ)の調理をしている最中に夫とユキが帰宅。


夫にも手伝ってもらって昼食を済ませました。


後片付けを終え、フゥーッと息をつきながらリビングへ歩を進めて・・・あたしはピタリと足を止めました。


ユキが何の支えもない状態で立ち上がっていたのです。


何かにつかまって立ち上がる「つかまり立ち」をして、「つたい歩き」をするユキは何度も見ていたのですが、何も支えが無い状態でしっかりと立つユキはこの時初めて見ました。


正確に言えば、立ち上がる姿は見たことあったのですが、いつもすぐにバランスを崩してペタッと座り込んでいたのです。


ですがこの時のユキはビックリするほどしっかりと立っていました。


「・・・!!」


思わず息を呑んだあたし。


ユキが立って向かい合う先には、胡坐を組む夫がいます。


あたしは二人の横顔を見る場所にいました。


「・・・ユキ。」


夫は彼にしては少し高めの、でもそんなに大きくない声でユキの名を呼びました。


肩幅に腕を開き、それをユキの方へと伸ばしています。


夫の、優しい「おいで」の仕種です。


あたしは動かずに2人の行動を見守ることにしました。


「あぁーうぅ!」


声を上げるユキ・・・その表情は、パパであるタカの元へ行きたがっているようです。


でも、夫が自らユキへ近づこうとはしません。


伸ばした腕を軽く上下に振り、穏やかな笑顔でユキを見つめていました。


大丈夫だから、歩いてごらん?


無言の夫の表情から・・・そんな言葉が発せられている、あたしはそう感じていました。


でも夫は言葉を発しません。


「おいで」とも、「頑張れ」とも「こっちだよ」とも言いませんでした。


1度だけユキの名を呼び、後は無言で見つめています。


ユキはどうするのか・・・まだ立ったままでした。


立っているだけで次のアクションを起こそうとしないユキ・・・夫は黙ってそれを見つめています。


心の中で


ほら、ユキ!踏み出してごらん?ユキなら出来るよ!


と何度叫んだ事でしょう。


あぁもう、声を出したい・・・タカの元へ行って、


「ユキ、おいで。頑張って!」


と言いたい思いに駆られました。


でも、いやいや、待って・・・と自分で自分を制しました。


2人の様子を見守るべきだと思ったのです・・・何故そう思ったのか?は、単なるあたしの勘なのですけど。


立ったままのユキと、そのユキに腕を伸ばして「おいで」の仕種をする夫・・・その状態が止まって・・・さぁ、どれくらいの時間が経ったのでしょう?


僅かな時間なのでしょうが、あたしには随分長い時間に感じました。


その時です。


ユキがその小さな一歩を踏み出しました。


あっ・・・!


足を踏み出して、すぐにまた次の一歩が。


小さいけれども、間違いなくユキが自力で歩いた一歩でした。


夫を真似てるようにも見えるくらい、両腕を広げて歩くユキ。


夫の方へと視線を向けたら、夫はすごく優しく微笑んでいました。


「よし・・・・そう・・・」


はっきりとした声ではなく、息漏れ声でそう呟いた夫。


でも言葉を発したのはそれだけで、後は大きく頷くばかりです。


ユキは途中で一度床に手をついてしまったのですが、すぐに体勢を整えて歩き始めました。


右足、左足、右足・・・。


ユキが踏み出す一歩一歩に興奮してしまっているあたし。


ユキはまっすぐにパパの笑顔を見つめて前へと進みます。


そしてとうとう、精一杯に伸ばされた夫の手に届きました。


ユキの脇の下に手を差し入れ、上へと抱き上げた夫。


すぐに自分の身体にピッタリくっつけて抱きしめ


「上手やった!やったなユキ!」


優しい声でそう言いました。


「ぅあーっ!うー!」


大好きなパパに抱きしめられて、笑顔で迎えてもらって嬉しかったのでしょうね。


ユキは満足げに声を上げました。


「歩いた・・・歩けたね・・・!」


そんな二人を見て、あたしはポロポロと涙を零していました。


我が子が何の支えも無しに立ち上がり、歩いた。


それだけでもう、胸の奥がギューッと掴まれたようで・・・あたしは込み上げて来る涙を我慢出来ませんでした。


「おまえ・・・泣くなよ。」


ポロポロと涙が零れるのを必死で止めようとするのに止まらなくて、顔と両手を涙でベタベタにしているあたしを見て、夫はフッと微笑って(わらって)そう言いました。


「だって・・・今っ・・・初めて・・・!」


涙声でそう言うあたしに、夫は言いました。


「うん・・・ユキが歩く所・・・一緒に見られたなぁ・・・よかった。」


噛みしめるようにそう呟く夫。


そしてユキへと顔を向け


「おまえはほんなって、空気読むとが上手かなぁ!パパとママの前で歩くとば見せてくいてさー!」

(おはえは本当に、(場の)空気(を)読むのが上手だなぁ!パパとママの前で歩くのを見せてくれてさ!)


笑顔でそう言い、ユキの頬っぺたを指でツンツンとつついた後に頭を撫でました。


あたしも2人の元へ寄り、


「ユキー!出来たねぇ!歩けたねぇ!」


といっぱい誉めました。


一年前はまだあたしのお腹の中にいた我が子が、自分で歩けるようになった。


毎日の子育ては大変だけれども・・・いえ。


だから、我が子の成長にこんなにも感動する。


子を持つことはこういうことなのかと感じた出来事となりました。



*・゜・*:.。.*.。.:*・☆



ユキが昼寝をして。


夫のワイシャツにアイロンかけをするあたしの側に夫が座りました。


「あー・・・なんかまだちょっと心臓がバクバクしよる。」


そう言ってフッと笑う夫・・・自分の左胸を擦っています。


ユキが歩いた・・・しかも、自分へと歩いてきてくれたのが余程嬉しかったようです。


「・・・でもあなた・・・すっごい冷静に見えたけどね?」


「あー?そっかぁ?」


洗いたてのワイシャツにアイロンを滑らせながら、あたしは夫を一瞬だけ見ました。


「あたしやったら多分、ユキに‘おいで!’とか、‘頑張れ!’とか言いまくったよ・・・でもあなたは、ほとんど何も言わずにユキば見つめるだけやったろ?」


「あぁ・・・んー・・・なんか、声かけたら・・・そいにビックリしてバランス崩したらいかんなぁって思うたし・・・」

(あぁ・・・んー・・・なんか、(ユキに)声をかけたら・・・それ(=自分の声)に(ユキが)ビックリしてバランスを崩したらいけないなぁと思ったし・・・)


滑らせていたアイロンをスタンドに置き、ワイシャツの位置を変えながら・・・あたしは夫と目を合わせました。


そんなあたしに彼は言葉を続けました。


「・・・なんていうか・・・ユキがやろうとしよることば・・・俺は見守りたかって思うてさ。」


とても優しい表情、声でそう言う夫を見て・・・あたしは胸の奥に温かいものを感じました。


そうか、これがタカの子育ての形なんだな・・・


と思ったのです。


あくまでもユキの自主性にまかせる、大袈裟に声をかけたりしないで本人がやろうとするのを見守る、それが夫の子育てなのだなと。


立ち上がって歩こうとするユキの道しるべとなり、静かに・・・でもあたたかく見つめる・・・


「なんか、太陽って感じやね。」


あたしはそう呟きました。


「何が?」


「んー?・・・あなたのそのやり方。・・・太陽みたいな子育てやねーって思うて。」


あたしの言葉に、夫はフッと笑いました。


「そうか?」


「うんー・・・あったかく・・・優しく見守るって・・・太陽って感じがせん?」


「いや・・・大袈裟やん・・・そんな。」


照れくさそうに言う夫に、あたしは言いました。


「あたしは、これからもその姿勢でおってもらいたかなーって思うよ。」


「え、俺?」


「うん。あなたには、この家の太陽でおってもらいたかなーって思う・・・ほら、あたしはキャーキャー言ってさ、めいっぱい口出ししちゃうタイプやけん・・・そうやねー・・・あなたが太陽なら・・・あたしは風って感じかな?」


おどけてそう言ったあたし。


「風?」


「ユキに、‘こっちだよー’とか‘あっちだよー’とか、導く子育てをしようかなって。・・・あんまり口出しし過ぎてもいかんっては解ってるんやけど、ユキをね・・・導いてやりたかなって。」


「追い風になって、背中ば押してやるって子育てか。」


「うん・・・ばってんそいだけじゃなくって・・・時には向かい風になってさ、‘それは違う’っても強く否定する存在になるよ。優しく吹いてあげる時もあれば、冷たい風を厳しく吹きつける存在にもなる・・・みたいな?」


あたしがそう言って笑うと、夫も同時に笑いました。


「なるほどなー、俺がユキの‘太陽’で、おまえが‘風’か・・・ばってんさ・・・俺がーとか、おまえがーとか決めんでもよくね?」


夫の言葉に、一瞬「?」となってしまったあたし。


そんなあたしの顔を見ながら、夫は言いました。


「逆の時もあってよかさ。その時その時で、俺とおまえがユキの‘太陽’と‘風’になってやればよぉなかか?」


優しい声、笑顔・・・夫の言葉に、嬉しくなってしまいました。


その言葉の先に


これからも二人でユキを育てていこう


という夫の思いを実感できたからです。


「ん・・・そうやね。じゃああたしも太陽にもなれるように成長せんといかんね!」


「一緒に・・・でよかさ。」


「え?」


「俺も、おまえも、ユキと一緒に成長していけばよかさ。」


彼の言葉に、あたしは何度も頷きました。


これから先、ユキが成人するまではまだまだ長い・・・その日々の中で、タカとあたしが時に太陽に、時に風となってユキを導いていけたらと思います。


そう、一番はユキの自主性を大事にして・・・見守りながら。



*・゜・*:.。.*.。.:*・☆



我が息子が初めてひとりで立ち、歩いたその記念の日・・・


日本シリーズの第7戦が行われ、福岡ソフトバンクホークスが日本一となりました。


何度もクライマックスシリーズでの敗退を経験し、悔しい思いをし続け・・・やっと手にした日本一です。


あたし達はテレビで観戦していました・・・もう興奮しまくりでした。


「息子が歩いたとば初めて見た日にホークスが日本一になった!俺多分、今日のこと一生忘れんって思う!」


夫のこの言葉があたしの中にずっと刻まれています。


あたしもまた、前回のホークスの日本一からすごく時間が経っているんだなと感じていました。


8年ぶりの優勝・・・前回の優勝の時、タカとあたしはまだ交際もしていませんでした。


そう、こんな風に家庭を持つことだって夢にも思っていなかったのです。


この8年の間にタカと再会し、交際し、婚約し、結婚し、子を持ち・・・あたし個人としても人生の大きな転換期だったなと思います。


2011年として振り返っても、忘れられない一年となりました。


大変な一年でした。


俯きがちになりそうな一年でしたし、将来を考えると・・・希望が持てるのか?と問われたらあたしも何と答えようもありません。


日々の生活がこれからどうなっていくのか?・・・不安はあります。


正直なところ、1日を過ごしていくだけで精一杯です。


でも、将来も考えなくてはいけません。


子を持ったのですから。


不安はある・・・でも親としての義務も全うしなくてはならない。


モヤモヤとした不安は常に付きまといますが、あたしは、あたしがやらなくてはならないことを考え、行動していきたいと思います。


ユキを育てる、親としての責任がありますし!ね。


タカと一緒だったら、頑張れます。


ユキにとって、だけじゃない。


あたしにとっても、タカはあったかくて、やさしくて、あたしを導いてくれる・・・


晴れ太陽晴れ


なのですから。




☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆



ご無沙汰していましたー。


家族全員元気です。


早いもので12月になります・・・2011年もあと1ヶ月です。


ユキの1歳のバースデー、そして夫のバースデー、そしてクリスマス、年末・・・我が家の12月はこれまた忙しくなりそうです^^


いろいろと書きたい近況がありますが、それは記事として上げられればなと思います・・・って、次はいつになる?(滝汗)



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