今は亡き祖母の話です。


私が幼い頃の記憶には、おばあさんは毎日来る日も来る日も座っていました。それが大事なおばあさんの仕事でした。


私の家は昔ながらの建築で、家の周囲は堅い土の通路になっていて高い位置に廊下があり子どもながらに落ちたら痛いな~!と思うほどでした。


母が子どもたちが危ないからと柵をして欲しいと頼んだ時、おばあさんは「大丈夫よね~!」と反対した。


そして、私たちが大きくなりおばあさんが高齢になって、高い廊下から通路に落ち、大腿骨を骨折し入院。手術を受け数ヶ月後にやっと退院しました。


家に戻ってから、おばあさんは「座れないと困るから」とホントは痛いだろうに、それでも弱音をはくことなく「ありがとうございます」とつぶやきながら毎日リハビリを続けました。


その甲斐があっておばあさんは再び座れるようになり、喜びまた仕事が続けられるようになりました。


一度失った座るということを諦めることなく、リハビリに頑張って取り戻した執念とも言える稽古が支えとなってのことと懐かしく思い出すのです。