どうしたらえぇん? ―明るく楽しい認知症介護のために―
<第10回>
認知症の一つの特徴として言えるのは意欲がなくなるということ。
ウチヘ帰ってから1ヵ月後、義理の姉がもうすぐ産まれるという身重の娘<※つい先日生まれた。曾(ひい)おばあさんになったが聞いても良く分かってないよう〔・_・;>を連れて見舞いに来てくれた。
いろいろ他愛のない話をしているうちに、認知症の進行を止めるのには趣味を持ったらいいのにという話になった。
しかし、これといって何もしたいことのないおばあさんは「何したらえぇんね?」と言うのみで考えることも人任せ。おじいさんが亡くなってからその傾向はあったのだが…。
「ちぎり絵がいいんじゃないの?!」と孫娘が言い出し、周りのみんなも「それはいい」となり、二人であまり熱心に勧めるものだから本人も「それはええねぇ」と応える。
そこで、「すぐにちぎり絵を送るから必ずやってみてね」という孫娘に「うん、分かった」といって別れた。私はそばで聞きながらホントにするのかなといぶかりつつも、そのまま忘れていた。
後日、本当に送ってきてくれたので、おばあさんに「やってみるんだよ」と手渡したが「ホンマに送ってきてくれたんじゃね」と言ったきり、枕元に赤、紫等などきれいな色の紙がたくさん放置されたままである。
どうもはなからする気はないようだ。というよりも、教える人がいるとか一緒にしてくれる人がいないと見本が付いていても自分だけではどうもダメな様子。こんなことはしかし認知症の人には良くあるケースらしい。
ちぎっても ちぎっても 貼られぬ紙を 思いつ いと哀し