どうしたらえぇん?  ―明るく楽しい認知症介護のために―


<第7回>


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脚が丈夫だと認知症にならない? ―徘徊―

20年程前の話、当時は「脚がしっかりしている人は認知症にならない」とかいった通説があった。私も当時はそれを信じていたもので、今でもそれを信じている人もいる。

当時の私の仕事先の大先輩に60歳代(ここでは定年制がなかった)の博覧強記と思えるほどの記憶力の優れた人がいた。私も少なからず尊敬のまなざしを向けていた人だった。

そのY氏はまた健脚で、数キロある隣町へも平気に早足でたびたび歩いていく健脚振りがY氏の自慢であった。

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70歳を過ぎてしばらくしてからすでに退職されていたのにたびたび仕事場を訪れるようになった。訪れては長い時間昔の話を繰り返していく。

またしばらく経ってからは、仕事場での話がすこしずつすれ違いに終わることが多くなったなと思っていたら、娘さんがY氏を迎えに来るようになった。どうやら訊いてみると当時の痴呆症状で一人での外出は危険だということ、今までは勝手に黙って出て来ていたのだった。

それからも幾度か娘さんが探しに来るようになったが脚が丈夫なものだからどこまで行くかわからないので探すのは困難を伴った。しまいには町中に探してもらうようなことになってしまった。

この昔の経験から、私は脚が丈夫なことは認知症予防によいという通説を信じなくなり、さらにこう思ったのだ。脚の丈夫な人が認知症になると家族、病院や施設が一番嫌がる徘徊の恐れが高くなり、しかも脚が丈夫ゆえに厄介なのだということ。誤解は早めに解いておいた方がいいという例だ。







健脚が徘徊に変わると家族大混乱
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