どうも!

ゲームレビューのコーナーです。

今回は、Un Je Ne Sais QuoiとUMANIMATIONが開発、Focus Entertainmentが販売を担当された、アドベンチャーゲーム「Dordogne」のレビューを書きます。

ローンチトレイラー 

早速本題に入りますよ。




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「Dordogne」レビュー(Nintendo Switch版)


☆良い点☆

①:水彩画そのままのグラフィックス


  淡い水彩画そのままの絵作りで描かれるグラフィックスは非常に美しく、2023年上半期のビデオゲームの中でもとりわけ目を瞠る程の2Dのアートスタイルとなっている。

②:物語
  フランスのドルドーニュ県にある祖母の家で一時期暮らしていた頃の記憶を失った女性・ミミが、その失われた記憶を探す物語。
公式が公表している通り、数時間で終わるボリュームではあるが、物語の起承転結がしっかりしており、破綻も無く、感傷的で、淡い一夏の思い出に浸れるこのショートストーリーは、老若男女問わず体験すべきだろう。

③:バインダー
  ストーリーを進行する上で、バインダーに写真や詩、装飾、音等を収めて日記を作って行く事になる訳だが、この日記作りによってミミの思い出を好きに彩色出来るのは面白い。
バインダーに収める
動画:装飾
動画:
は、進行上自動的に入手出来るものとフィールドで拾い集めるものがあり、日記を彩り豊かにする為にはしっかりとアドベンチャーする必要がある。

④:多彩な言語
  本作は、多くの言語を選択出来る。
フランス語や英語は勿論、中国語や日本語、ドイツ語、スペイン語等々、様々な言語に対応している。


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✯勿体無い点✯

①:ゲーム的な操作をするパート
  【鍵が底にはまっているレターボックスを開ける→手紙を取り出す→レターボックスを取り外す→鍵を取り出す】と言った様な一連の動作を一つ一つ操作する、ゲーム的なパートがあり、ある種のリアリティーを演出してはいるが、【ドアノブをひねる→ドアを押す】と言った動作まで分割しているのは些かやり過ぎだ。

②:少々残念なローカライズ
  日本語字幕は、一部誤字があったり、やや怪しげな翻訳があったりする。
海外のインディーゲームではよくある事だし、致命的に読み取れない程では無いし、Tripwire Interactiveの「Maneater」の初期のスケアリー・ピートの様な名前の表記揺れ(スカリー・ピートやらスケイリー・ペートやら)がある訳でも無いので、ご愛嬌と言うレベルではあるが。

③:直線的な物語
  本作のストーリーは優れてはいるが、日記の内容や途中の選択肢は、物語の彩りを変える程度のものでしか無く、飽くまでストーリーは一本道である、と言う点が勿体無い。
日記作成や選択肢にもう少し意義を足して欲しかった。


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☆総評★
このゲームは、公式が紹介している通り、スケールが大きくない作品だ。
その物語は数時間で終わるし、リニアな内容だし、アドベンチャーパートも難しくない。
然し、水彩画の淡く柔らかいタッチで描かれる、ドルドーニュ県を舞台としたミミの記憶の物語は、とても印象に残る感傷的なショートストーリーに仕上がっており、時間がゆっくりと進んで行く様なゲーム進行や、ドルドーニュ県の景観を忠実に再現したフィールド、そして少女・ミミの感情の揺れ動きは、ノスタルジーを感じさせる。
サウンドエフェクトは作り込まれており、音楽も素晴らしい。
この淡く美しい世界に興味があるのなら、必ずプレイするべきである。
お手頃価格で、ちょっとした贅沢を味わえるのだから。
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☆「Dordogne」レビュースコア(各項目10点満点)★
グラフィックス:10/10
サウンド:9.5/10
ストーリー:9.2/10
バリュー:9/10
リプレイ性:7.5/10
トータル:9.5/10