『もう過去に生きることはない』

人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている――。
第14回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」他二篇を収録した短篇集。


史上初の快挙となる日本ホラー小説大賞(短編賞)、江戸川乱歩賞ダブル受賞作家となる大型新人の短篇集。

たまには普段と違う趣向の作品も読んでおかないと、頭が凝り固まるからね?というわけで、話題性もあり、短篇で手に取りやすいこともあり、ホラー小説などを読んでみた。

このようなダークなホラー作品は、その猟奇的な雰囲気を許容できるような気分のときに読んでみるべきで、内容に対して、うわぁorzとか、げげぇ?orzとか、あああぁ~!orzとか、うぇ~ん(>_<)とかならないように、心身共に余裕のある時期に経験するのが好ましいのかもしれない。

……本を読んで陰鬱な気分になるのも苦痛ですよね? イン・タムさん。



3篇の短篇が収録されているが、どれも着想が独創的で、一般的な感性とは掛け離れている突飛な世界が描かれている。
全てが奇妙で不条理であり、恐怖で狂気であり、何処か社会を皮肉り風刺する内容は、「世にも奇妙な物語」のような、滑稽でもあり倒錯した世界観を強く印象に焼き付ける。

……気になったら、読んでみるのをお薦めしますよ~。
ひょこたんを信じて、ファイト! ひょこたん



著者は経歴が何とも興味深い方のようで、その自由な発想が文章からも充分に窺えるし、大胆で破天荒な世界観を構築したり、どこか舞城氏と被るようなイメージも感じさせる。
人を喰ったような文章も、先が全く読めない展開も、何が出てくるか分からない好奇心も、とにかく、どのような展開が待ち受けているか一切の予測が付かず、ただ唖然・呆然と先を読み進めていくしかない。

そして、その実力はミステリ作家としても高く評価されているので(内容は本書と全く傾向が異なるらしい)、文庫落ちの際には、その本もぜひ読んでみたいと思う。

……こういう作品は、合わなかったら仕方が無い。合う合わないという体質の問題だ。
何?体質だよ。体臭じゃねえぞ、このロリ野郎。
俺が薦めた本を侮辱する奴の顔面をパンチ。誰だか知らないが相手は鼻血ブー。
では、ごきげんよう、さようなら。



『そもそも偏見は科学的根拠や合理的説明などを必要としない。それは強い感染力を持つウイルスのように、ひとたび蔓延すれば根絶することは難しい』



鼻 (角川ホラー文庫 127-1)/曽根 圭介

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沈底魚/曽根 圭介

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