第58話 【最後通告】



斯由(サユ)王亡き後、亀のように籠ってしまった高句麗・南平壌城

城門前で、無為に時だけが過ぎ…

ついに今回の高句麗攻めを諦めたクンチョゴワン


漢城近郊の亀旨(クジ)まで戻ってきました



右矢印王とヨファの会談


クンチョゴワンは亀旨の幕舎に
反乱軍の首謀者・ヨファを呼び出しました



”連合を解散せよ”というクンチョゴワン


恨み節のヨファ…

”父契王の非業の死 兄たちの処刑…をどう償うのですか…”


”恨みを晴らす為に、兵の命を犠牲にするのは愚かな考え”


”領土が増えようと

百済はコイ大王系や貴族のもの

貴族が憤慨しているのかよく考えて…

そうしたら、なぜ決起したか分かる!”


横からヨグン王子

”これは決起ではなく反乱という重罪だ!

詭弁だと思いませんか!

宮主の幼稚な復讐劇!

子を失った恨みから王様や王妃様に復讐しようと乱を起し

貴族のためだと言い訳している!!

図星でしょう!?

お子は生きていた もう恨む理由もないでしょう!?”



同じくクンチョゴワンの傍らに立つヨグスも

…黙って見つめています


ヨファに付き添ってきたタンダン ウルマフル王子たちを

天幕の外に出し


”そちらにはチン・ゴド伯父上がいるが、そなたは私には勝てない”


”サユが生きていたら勝てるなどと言えなかったはず ”


”あてが外れたからといって

私の伯父上たちや弟同様のスン 達卒たち(ヨン・クク氏)を
犠牲にするのか!”


”皆が選んだ決起”


”では、兵は?

主君に恵まれなかった罪で殺すつもりか?

それも味方同士の殺し合いで死なせるのか?

慰礼宮の忘れ形見を死なせるのか?


今回ばかりは前回のような情けはかけない

この世から慰礼宮を跡形もなく葬ることになる


太鼓が昼を知らせるまで時間を与える

それまでに事態を収拾するのだ!

もし、決戦を望むなら 日が暮れるまでに反乱を鎮圧する


慰礼宮は全滅し、チン氏一族ら貴族連合は明日を限りに

百済から姿を消すだろう!”



そうは簡単にいきません!!強気のヨファ


”そうだ! ゴド伯父上が兵を率いれば、多くの兵が犠牲となる

それも故郷の百済でだ!!

ソソノ国祖母様の思いのこもった漢城で、百済400年の都で

貴族でもない兵を犠牲にするつもりか!


我々貴族は、犠牲となった兵への償いを生涯背負っていくことになる

味方同士で殺しあう罪は死んでも償えないだろう!”



”最後通告は聞きました

兵の剣を磨き、腹ごしらえをさせねばなりません” 

あくまで強気 聞く耳もなし ヨファ



”最後に一つ聞く

ヨグスはどうなってもいいのか?

慰礼宮が滅亡し、そなたが死ねばヨグスは苦しむだろう

それでも反乱をやめないか?”



私も1つ聞きたい

ヨグスを私の元に寄越したのは私を動揺させ

決起を思いとどまらせる為ですか?

なぜ、この時期にに?



”引き合わせる機会を永遠に失いそうだった…

だからヨグスを行かせた”




右矢印帰ってゆくヨファ

タンダン、ウルマフルが付き添っています


その輿を馬で追いかけてきたヨグスと

語り合うヨファ



”王様は、後世の人に偉大な王と讃えられるでしょう

でも、一人の人間としては、両親の酷い死を目にし

慰礼宮の為に王位を奪われました

兄たちも失い、辛い思いをされました

なぜ!よりによって宮主が!王様の手を王様の伯父上や

従兄弟の血で汚させ

コイ大王系を皆殺しにさせるのです!”



”王様には随分と親孝行な息子がいるものだ…!

そなたは王様の立場で物を言っている

慰礼宮と貴族の立場を考えたことがあるか!”



”何処で誰と居ようと私の妻…

父上の心から発した声が私には聞こえます

聞こえませんか?”


”そんな声は聞こえないし、たとえ聞こえても何の感慨もない!”


”お願いだからやめてください!!”


”山の頂から岩を落とせば、麓に着く頃は
予想外の方向に転がっているもの

反乱という岩を動かしたのは私だ

だが、動き出した岩は私の思い通りの方向には転がらなかった”


”それなら私が止めて見せます!

明日の戦いでは私が先鋒を務めます!!

父上とヨグン王子様の手をもう血で汚したくありません!

ただでさえ父上は、つらい道を歩んできました

今後は偉大な王として、立派な人生を送ってほしいのです”


”最後のご挨拶をします”と 

床に座り 手をついて頭を下げるヨグス




右矢印反乱軍

ヨファは何を王と話したのだろうか…??

そのヨファが亀旨を発ったという知らせ


軍略会議をしますが


チン氏は

戦略はなにもない…

各自持ち場を死守し、玉砕覚悟で戦うのみ

相手は王様

馬韓 高句麗に勝った合戦の達人

どんな戦略も通じないと…


もう動揺するヨン・クク両氏




右矢印漢城


先鋒がヨグスと知った王妃


”酷すぎる!
そこまでしなくても! 

慰礼宮が首謀者ではヨグスにも火の粉はかかる

太子にはなれない!”

と先鋒をやめさせようと訴えますが


兄・郡公に

”ヨグンはまだ太子ではない

民にとってグスは、ヨファの息子ではなく王様の息子であり、
サユを討った英雄です
ヨグスが願わずとも 太子に望まれる立場にいる”と言われ


傍らのアジッキも同意見で

黙る王妃




右矢印亀旨の幕舎内


モンナグンジャとパユンが痛ましげな顔をして

クンチョゴワンに頼んでいます

こんな酷いことさせないで…と

二人は粘って座り込みをしていますが…



右矢印ヨグスは傍にやって来て、何やら言いたげなヨグンに

”先鋒を止めないでください

百済の為、私が果たすべき務めです”と




右矢印夜 外に佇むヨファ…
  タンダン ウルマフルが付き添っています


想い出しています


クンチョゴワンの言葉…

”我々貴族は犠牲になった兵への償いを生涯背負っていくことになる

味方同士で殺しあう罪は死んでも償えないだろう…”


ヨグスの言葉…

”明日の先陣は私が務めます…”



血を吐くヨファ



驚!!!ウルマフル


”お許し下さい!!
すべては私の過ちから始まりました!

私は朝廷佐平(ヘ・ゴン)の命を受け、
ヨグス王子様を殺そうとしました!!”


ヨファは…驚きもせず…

”その可能性も推測はしていた”…と


  へ・ゴンがやってきて、やり取りを聞いています…


”王様は悪くありません

罪を犯したのは朝廷佐平と私
私が死をもって償います

ヨグス王子様のために、矛を収めてください!!”


とんでない言いがかりだぁ!!!とゴンが割り込んできて…


ヘ・ゴンとの再会に お久しぶりですと挨拶するウルマフルに


”礼を尽くすことはありません!!

この人が不孝の連鎖を起こした張本人です

宮主を苦しめ、王子様を不孝にした人です!!”と叫ぶタンダン


その二人に憎まれ口をきくゴン

”逃げたら、そのまま身を隠せばいいものを よくも私の前に現れ

戯言が吐けるものだ!!”




右矢印そのヘ・ゴンを居室に呼び

  連合軍の解体を命じるヨファ

”チン氏が応じるか分からないが 私は夜が明けたら

ヨグァンを連れて投降する!”


”決起を断念するのですかっ!!!

再びヨグの足元にひれ伏すのですか?”


”勝機は逸した

これでも母親だからヨグスの身が心配だ”


”息子が生きていたら慰礼宮を裏切るのですかっ!!”


”遅くなったが今からでも全て元に戻したい…”


”私がヨグスを殺そうとしたからですかっ!?

ヨグァン王子が王になる日、宮主の足元でこの生命を絶ちます!!”


”ヨグァンも救いたい!”


”慰礼宮に命を惜しむ者はいません!

私の人生は何だったのですか!

養父である先王様をこの手であの世に送りました

実の父はヨグに首を刎ねられました

慰礼公とヨムン王子はさらし首に

コイ大王系を絶やすな…と

誰もがそれだけを私に言い残してこの世を去りました(´_`。)”


”もう20年近く前だ

河の流れが変わる程の歳月が過ぎた

そろそろ、私と朝廷佐平もすべてを郁里河(漢江)に流そう

もう亡くなった者たちは先祖の元で安らかに眠らせてあげたい”


”今更なかったことにしようと言うのですか?

今になって私が納得するとお思いですか?”


”愚かな私はヨグァンを間違った道に導いた

明日、戦いとなれば、兵の中には兄弟同士

友同士で殺しあう者がいるだろう

そんな悲劇は避けたい

王様と話していて私は気づいた

百済は貴族の国ではない

両大王系の国でもなく

民の国なのだ

政争のために民の血を流すことなど誰にも許されない

すぐに連合軍を解散させるのです!!”




右矢印こっそり投降の話をしているヨン・クク両氏


ヨグァンがそれを聞いていました

捕らえられる二人


チン氏が止めるのも聞かず ヨグァン

成敗する!というなり二人を切ってしまいます


丁度そこへ来たヘ・ゴン

驚! 

どうして!私が来るまで待たなかったかっ!と
激しく諫めるゴンも無視し

”剣を磨く砥石を持ってこい!”とヨグァン


そんなヨグァンの様子を…失望の混じった眼差しで見るゴン

チン氏も…ヤレヤレ…


ヨン・クク両氏の兵が逃亡したり 死んだり

ついにチン氏の兵にも動揺が…


”物を知らぬ小僧のせいで、決起も台なしになった!”
と嘆くチン・ゴド




右矢印地に打ち立てた棒の影を見ているクンチョゴワン

お願いがありますとやって来たヨグスに

そなたを谷那に置いておけばよかった…と言います


ヨグスのお願いは

慰礼宮のこと


”初めてお会いした時の約束をご記憶ですか?

私は高句麗を討つ約束を半分、果たしました

高句麗攻略はこれからですが、ヨグン王子様がいれば安心です

ですが1つだけお願いがあります

宮主の処分は一任すると王妃様に約束しました

王妃様に頼んで、宮主の命を助けてください

これが私の最後のお願いです!”




右矢印ヨファ居室


ウルマフルに手紙をことづけています

一通は王様

一通はへ・ゴンへ


”喉が渇いた…タンダン そなたの淹れたお茶が飲みたい”



右矢印サ・ギの帰城


”よく帰った!!

婿の顔を見られ、涙が出そうだ…

ありがとう!

無事に戻ってくれて本当にありがとう…”と王妃


しんみり義母と婿


そこへビックリマーク

あなた!!とヨジン姫むっ


”姫さま臣サ・ギ戻って参りました”という夫に


”喧嘩してから2年間も音信不通だったのに!!
 今頃お帰りですか!

功臣かもしれませんが 夫としては最低です!!”


そのサ・ギが代理王ヨモンに言います

”まもなく開戦

反乱軍が退却の際、王宮に逃げ込むかもしれないので

万全を期すよう王様に言付かってきました

私はこの王宮に残り、義母上と姫をお守りします”




右矢印戦列が両者とも整いました

  開戦の合図を待つのみ


ヨグスが指揮を取っています

それを見守るモンナグンジャとパユン


痛ましげにヨグスを見守っています

”我々の役目は王子様を死なないようにお守りすることだ”


”そうなんだが…

なんでこんなに泣きたくなるんだ

王子様の心境を思うと切なくてな~~~”とパユン



右矢印棒の影を見つめているクンチョゴワン


合図を送る時間です…とアジッキが言った時

ヨファからの書簡が届きます


郁里河に行くと言うクンチョゴワン

ヨグスには合図があるまで動くなと伝えろ!!




右矢印ヨファの最期



居室でお茶を飲んでいるヨファ

ヘ・ゴンを呼びました


ヨン クク両氏の死後、たくさんの兵が
逃亡したり死んだりしたそうだが

なぜ、連合軍を解散させないのか?



既に川を渡って、渡し船は壊れました(。・ε・。)

ヨグの元に戻る手段はありません(`ε´)


お話が終わりでしたら、これで失礼します!( ̄^ ̄)

戦が始まります!とゴン エライつっけんどん!



ヨグァンへの手紙をことづけるヨファに

”投降を促す書簡なら、渡す筋合いはありません!(`×´)”



投降を促すのではない

私がどれだけ甥を思っていたか伝えたい


ゴンが、ヨファのお茶を急須から湯のみについで飲もうとする

置きなさい…と止めるヨファ


そなたには何も残せぬな…


そう言いつつ立ち上がり…


ゴンが注いだお茶をゴクゴクと飲み


ゴンに少し微笑むと

部屋を出てゆくヨファ


?????なゴン


湯のみの臭いを嗅いでみる… ??

急須から注いで 口にする


ペッ!!!


ギョッ!!


宮主!!~~~宮主!!~~~

慌ててヨファを追って外へ


門にはウルマフル   ゴンをガバッと阻止 

 

何処に行ったのだ!!~~


王様に会いに


私の馬を用意しろ!!


私を切ってからお通りください!!とウルマフル



宮主~~~!宮主~~~!!!



右矢印神木の下でクンチョゴワンを待つヨファ

  タンダンが付き添っている

 

馬を引いて王が来ました


”ここで会った時のことを覚えていますか?

思えばあの頃がヨファの人生の中で一番幸せな時期でした”


”今からでも反乱を止めるのだ

そうしたら、そなたと私は他の家族と共に舟を浮かべ酒を飲み

笑い合える日が来る…”


”来世ではそんな日も来るでしょう…


来世では王になる運命を背負わないで…

百済は、優れた王のお陰で栄光を享受していますが

王様自身は幸せではありませんでした

英雄というのは血と涙にまみれているもの

一人で苦しみ耐えるつらい立場です”


ゲホ ゲホ ゲホ~~


血を吐くヨファ


駆け寄るクンチョゴワン


”最期のお願いがあります

責任を取ります

私の恨みがこの度の決起となりました

すべての罪を私に背負わせてください”


何をした?と聞くクンチョゴワン

毒を飲んだと感づいたようです



髪紐を解き


”この神木は願いを叶えてくれるそうです


ヨグス  ヨグァン

朝廷佐平とチン氏

私のせいで命を落とした達卒たち(クク・ヨン氏)


そして、誰よりも王様の為に願いをかけます

王様の輝かしい百済の為に
ヨファの髪紐をこの枝に結びつけました”



ウップ! 倒れるヨファ  支え 抱きとめるクンチョゴワン



”ヨファの命と引き換えに 慰礼宮とヨグァンを助けてほしい

哀れなヨグァンを息子と思って面倒を見てほしい

チン氏一族を助けて…


王様…さいごに…

グスに…グスに… 人目だけ…会わせてください




右矢印反乱軍が整列している

その間を呆けたようにスタスタと歩いてくるゴン

前列に居並ぶチン氏 ヨグァンの傍までやってくる


”敵の動きが止まった 何があったか知ってるか?”とスン


”遅いじゃ在りませんか!”というヨグァンにヨファからの書簡を渡す



右矢印ヨファの手紙を読むヨグァン

「お前を大事に思う故 私は傍を離れよう

今まで、お前を慰礼宮の復讐に駆り立てた私を許してほしい

もうつまらない戦いはやめて 自由になりなさい」


”無責任すぎます

どうして!私を置いてゆくのです

伯母上~~~ ” 涙するヨグァン




右矢印神木に向かって馬をかけるヨグス


右矢印神木の根元でクンチョゴワンの胸に抱かれて座るヨファ

  馬のいななきが聞こえる


”ヨファや…ヨグスが来た

そなたが会いたがっていた私たちの息子だ”


”あの子には私の死は病の為と教えて…

これ以上あの子を苦しめたくありません”



グスや…

オモニ~~

”訪ねてきたお前を私は冷たくあしらった

この母を恨んだでしょうね

母を許してくれるか”


”私は母上に会えたのです

恨んでなどいません”


”ずっとお前をこの胸に抱きたかった…

あの世に行ったらお前を抱き、二度と離すものかと心に決めた”


両手を差し出すヨファ


ヨファの膝の上に身を投げ出し

顔を埋めるヨグス



”本当に…私は息子を抱いているのね…

こんな立派な男になって私の胸にいる”


オモニ~!~オモニ~!~~


ゲホ ゲホ ゲホ


”王様、もう思い残すことはありません

これ以上何も望みはありません

私が死んでも悲しまないでください

ヨファは幸せに包まれて…旅立てます”


…息絶えるヨファ…



右矢印ヨグァンはヘ・ゴンと共に投降する


チン氏も…もはやこれまでか

クク達卒らを処刑した時、結果は見えていました…



右矢印反乱軍の投降


ヨグァンが白旗を掲げています

ぞろぞろと…すごすごと…反乱軍が雁首揃えています


結局!無様な姿を晒しただけの決起だったな…と ビラン

敗北した今 何も申し上げることはありません…とスン



右矢印コムジェ別宮に籠もるクンチョゴワン

  一人泣いています


王宮では、王妃がそんな王を気遣って…

おつらいのでしょう…

私でさえつらいのだから…と




右矢印ヨファの墓の前で泣くヨグス王子


オモニ…オモニ…と幼子のように泣いています

そっと寄り添うチン・アイ



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1月16日(月)9:59分まで!!