215日お釈迦さまが亡くなった日 妙乗院黄金の涅槃図から読み取る人生の道しるべ。


天界にて、なぜか悪夢を見続けていたブッダの母

「生まれて7日で世を去り、この手で抱きしめてあげられなかったことが心残り、わが息子を抱きしめてあげたい」と


父性的な論理よりも母性的な情緒を好む傾向が、わたしたち日本人にはあって、それは美しいものですが、そこには危うさをはらんでいるとも思います。

愛するものを失った時には執着から離れられず、時には憎しみとなったり、絶望となったりもします。

駆けつけたブッタの母の悲しみようは激しく、半狂乱と言ってもいいと思います。

すると、突如、すでに入滅したはずのブッダがその神通力をもって、棺のふたを開け、身を起こして立ち上がる。千の光を放ちながら合掌して母に向かい、

生まれたものは必ず滅ぶもの。もろもろのすべては無常である。

すると、その言葉を聞いた母の顔が、蓮の花のように和らいでいく。

愛情と、愛著(執着する愛情)の違いは何なのか、その境がどこにあるのか、

しかし、おそらく母の愛情が、愛著へと変わろうとしていた。

「子への思い」が、「子を思うがゆえの迷い」に陥ろうとしていたのでしょう。

理を説くことによって、夫人の迷いが消えていく。救われることになる。

ここには、救済を得ようとする情緒的な母性と、真理を求めようとする論理的な父性とが結合したかたちがあります。