問いただすより、受け止めよう


 相手が何かメッセージを伝えたときに、言い訳や反論で返してしまうことは、人間ですから当たり前の行為です。



 「あんたなんかに言われる筋合いはない」とか「そういうあんたはどうなのよ」などと、「逆ギレ」して相手を問い詰めてしまうこともよるある話です。


「問い詰める」という言葉は、まさに読んで字のごとく「問い」で「追い詰める」ことです。



 「窮鼠猫を噛む」〈きゅうそねこをかむ〉などと言いますが、追い詰められたネズミは、自分より強い猫ですら噛みついて反撃に出ます。



 会話とは、互いを追い詰めて苦しくするものではなく、相手の心を開かせるためのものです。

 恋愛末期のカップルの会話などは、まさに互いを追い詰め合って、孤立化させる救いのない展開へと進んでいきます。



 心地よい会話のポイントは、必ず相手の「逃げ場」を用意してあげることです。あいての避難場所を確保しておいてあげることです。

 男女の会話でも、相手の弱い部分は、あえて見て見ぬふりをしてあげるのが大事です。



 言葉の上での正義や正当性などは主張せず、まずは悪いところを含めた相手の存在自体を受け入れてあげることです。



 最近、教師に対して強いクレームをぶつける「モンスター・ペアレント」なる人々が増加しているようですが、教師も人間、追い詰められたらまともな対応はできません。


 まずは相手の話を聞き、受け入れることが大切です。

 私は年間、何百人もの人々の相談を受けます。

 相談者に非があっても、私はその人を問い詰めません。



 その人は問い詰められに来たのではなく、癒やされたいし、解決策をもらいに来たのです。何か正しく何が悪いなどということを決めつけても、その人は救われませんからね。