「ほめ上手な妖精」を心に飼ってみる


 いまや一億総コメンテーター時代です。

ネットなどでも芸能人の中傷や、時事問題についての辛口批評など、誰もが好き勝手に自分のコメントを披露するのがよいとされています。


 友人知人の集まりでも、レストランに行けば、やれ空調が悪いだの、サービスがなっていないだの、食事が塩辛いなど、だれでもどこでも文句を発表しあうのが、かっこいいとされています。

 ひとりが何かを言い出すと、まけずに誰かがそれを超えるコメントをしたがる。


 ある国立大学美大生に聞きましたが、仲間でレストランやカフェで、「おいしいなあ」と素直に言うことは決してしないということでした。


 なぜなら、「なんだ、この程度の味覚か」と見切られてしまうのが怖いというのです。本も映画も、「楽しかった」と言うと、バカ扱いされてしまうとのことです。


 これは極端な例ですが、似たような見栄の張り合いはよくあることです。

 私はこういう気取ったコメント合戦には、あっさり敗北の白旗をあげます。


「そうですか、さすがはご見識がありますな」

「私はこの食事に大満足です。おいしいですね」

 と、素直に言って、相手の闘争心をいなしてしまいます。


 むしろ、私はそういうときは、相手をほめてやることをお勧めします。

 相手は賞賛を受けたくて仕方がないのだから、賞賛を与えてあげればいいのです。それぐらいのサービスならお金もかからないし、気軽にできます。


 心の中に「ほめ上手な妖精」を住まわしているとでも思ってみてください。コメント合戦にはまりそうになったら、すぐに妖精を呼び出してください。


 妖精に相手のよいところをほめてもらうのです。あなたは傷つかないし、気持ちも安定します。