お経の中にお釈迦さまの子供であり、弟子のラゴラに親切にお話している場面があります。
『人生は、みんな二つです。
生といえば、死があり、幸いがあれば、災いがあり、苦があれば楽があります。
男性といえば、女性がいます。表といえば裏があり、勝者があれば敗者があります。
病気といえば健康があり、若いといえば、老いると言うことがあります。
得と言えば損が、貧があれば富があります。
みな、人生は二つです。
この二つを比較し比べて、計らい、一喜一憂しているのが私たちの姿ではないでしょうか。』
この「二を超えろ」と言うのは、そのどちらにもとらわれず、生きなさい。
永遠に変わらぬ世界に生きなさい、と言う事ではないでしょうか。
自分の都合の良い所だけをつまみ食いして生きるのではなく、生も死も、幸いも災いも、すべてをしっかりと受け入れて行く、そんな『覚悟』を決めて生きて行くことではないでしょうか。
そこに堪えて行く時、きっと、心の根が、いのちの根が深く伸びていき、その人なりの人生の花を咲かせ、実をみのらす事だと理解しました。
写真は妙乗院所蔵雲中供養菩薩です。