心が和んでいて、うれしい頂き物をする時、『ありがとう』とは、言いやすいものです。


何といっても、恩恵を受けるのは自分に都合のよいことですから。


外国旅行の本などにも、英語では『サンキュー』、フランス語では『メルシーボク』、中国語では『シェーシェー』などと、会話入門の最初に書いてあるようです。


しかし自分が悪かったと謝る言葉はどうでしょう。


わずか三歳の子供でも中々『ごめんなさい』とは言えません。


大人になって社交辞令で『すみません』はよく言いますが、本当に自分の過失を認めて『ごめんなさい、申し訳ありません』と謝ることは、めったにないようです。


実はそれほど人間の我執は恐ろしいものなのです。