昔の中国にこんな物語がありました。
衛という国があって、その国王が、ある日狩りに出かけた時、一人の老人が、山すそ一帯に、汗を流しながら松の苗木を植えていました。
それを見た国王が、
「おじいさん。あなたは何歳になりますか」と尋ねると、
「八十五才になります」
そこで国王は笑いながら、「この松はいずれは立派に成長するだろうが、あなたの生きている間には使えないではないでしょうか」と言いますと、
その老人は、「木と言う物は、植えてから百年後に役立つものであります。
私は老い先短いけれども、子孫の為にこの木を植えています。
自分が生きている間に役立たないから、無駄ではないかと言う、あなたには、とうてい国を治める才能はないでしょう」
この言葉を聞いた国王は、たいそう恥じ入ったということです。
今は、最初の所では、小さくても、やがて後には、大きく成熟し、様々な結果をもたらします。